さくらの夜 紗矢の夜

 さくらはバイトのシフトは10時までだったが、日曜日でお客さんも少ないからと9時に上がらせてもらった。


 バイトの帰りは店長や他のバイトの人がお土産をたくさん持たせてくれる。


 きょうだいが多いことも分かってくれている。


 明日から2週間はテスト期間で来れないと伝えると、頑張ってねと言ってくれた。お土産を手に歩いて帰宅する。


 家に着くとすぐに弟や妹が群がる。


 お土産が目当てだ。


 3人で仲良く食べるように伝えてシャワーを浴びに行く。


 明日は久しぶりに私と母のお弁当を作ってみよう。


 そう思えるほどには経済的に安定してきた。


 

 紗矢たちが池袋の自宅マンションに戻ってきたのはもう夜の11時を回った頃だった。


 パパが立体駐車場に車を止めている間にママと35階の部屋に先に帰ってきた。


「おふろ、おふろ」と言いながら、紗矢はリモートで満水にして沸かしておいたお風呂に入る。


 ちょっとくすぐったいけど、好きなバブルジェットにして体をほぐしていく。


 バスタブに入りながら、そういえば好きな人にもんでもらったら胸が大きくなるって聞いたことがあるな、などと思い出し、一人で顔を赤くしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る