第4章 今守の男たち
第28話 連休のお誘い
純と心のデートから数日後のこと。
学校から帰宅した心の端末にメッセージが届いた。
『ちっす。ハルハルだぜ。今度うちで新作のゲーム片っ端からやるんだけど遊びに来ない? 良ければリッキー姉さんも誘ってくれよな』
心を誘うのはゲーム仲間の男子だ。
理貴を通して知り合った関係で、心自身も実際に会ったことがある。
心は彼の本名を知らないのでハルハルというハンドルネームで呼んでいた。
『おもしろそうだね。予定を確認してまた連絡するよ』
まだ理貴に声をかけていないのでとりあえずハルハルにはそう返信しておく。
廊下を歩いて理貴の部屋のドアをノックするとすぐに次女が出てきた。
「おかえり。どうしたんだいココロちん?」
「あのねお姉ちゃん」
いつもとかわらない理貴にハルハルからのお誘いの件を話す心。
それを聞いた理貴は「その話なら私にもメッセージが来てたよ」と言い、もう予定も立ててあることを教えてくれる。
「遊びに行くのは今度の連休がいいかなと思ってる」
「そうだね。ぼくも学校がお休みだからその方がいいな」
あっさりと纏まった話をハルハルに伝える理貴。
彼女の端末はすぐに返信を受け取り、ハルハルもそれで問題ないことがわかった。
瞬く間に決まった連休初日の予定。
心はゲーム仲間に会うというイベントを楽しみにしながら自室に戻る。
そんな彼の端末に再びメッセージが届いた。
「ハルハルかな?」
理貴を通じてやりとりは済んでいるのだが、ハルハルは律儀な一面もあるのでもしかしたら個別に連絡をくれたのかもしれない。
そんなことを考える心の目に飛び込んできたのは別の人物からの誘いだった。
『今度の連休初日。予定が空いたのだが会わないか?』
メッセージの送り主は純である。
「タイミングが悪い…………」
先にハルハルと約束してしまったので今回は誘いを断ることになる。
心は残念に思いながらも返信のメッセージを送信した。
『ごめんね純さん。その日は先約がいるの。また誘ってくれたらうれしいな』
『そうか。なら仕方ないな。また別の日に誘うことにする』
簡潔な文章から純の感情が浮き出てくるようだ。
画面の向こうでは純が肩を落としているかもしれない。
「まあ、でもこの前デートしたばっかりだし。これが最後の機会ってわけでもないし」
心はそう口にして気持ちを切り替えた。
せっかくハルハルと遊ぶ約束をしたのだから、気分を落としたままなのは良くない。
当日は楽しい思い出を作って、後で純にも話そう。
そう考えて心はシャワーを浴びるために浴室へと向かった。
ハルハルの正体が今守純の弟である今守春田だと心が知るのは、彼の家に遊びに行く当日のことだった。
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