第27話 デートの締めくくり
自室に戻った心は携帯端末を操作する。
『こんばんは。今日は楽しかったね。僕はさっき夕飯を済ませたところだよ。純さんは今なにしてるの?』
手早く文章を作成し、純へメッセージを送信すると思いのほか早く返信が来た。
『私も楽しかった。また行きたいな。ちなみに今は読書をしていたところだ』
心は寝間着に着替えつつ純のメッセージを読んでいく。
『ありゃりゃ、もしかしてタイミング悪かったかな。ごめんね』
ベッドに寝そべって枕を抱える。
純に迷惑をかけてしまったかと思ったがそんなことはなかった。
『問題ない。私もいつ頃心に連絡すべきか悩んでいたところだ。今の読書は時間を調整する意味合いが強いから、むしろありがたかった』
『どんな本読んでたの?』
『自然や生態系に関する本だ。今日観た映画に触発されて読んでみた』
純が教えてくれた本の内容をゴロゴロしながら調べてみるが、どうも学術書のように難解なものらしい。
『調べてみたけど僕には難しいかも~~』
ジャンルとしては心の好きな分類だが、実際に読むのであればもう少し嚙み砕いた内容の方でないとパンクしてしまいそうだ。
映画はその点、映像とわかりやすい解説や監修がされていたので楽しく観れた。
『そうか。この他にもわかりやすそうな本があるから今度会ったときに渡そう』
『よろしく~。また会える日が楽しみだよ』
『私もだ。デートして一日も経っていないのに、もう心に会いたいと思っている』
ベッドの上で足をバタバタさせる心。壁に足をぶつけて少し痛いが問題なし。
「ふふ、純さんったら……僕も会いたいよ、っと。またオシャレしよう。純さんはどんなのが好みかな?」
今、聞いてみようか。
『純さんは僕の服装とかにリクエストある? スカートがいいとか、上着はどの色がいいかとか』
『ズボンを履いた心を見てみたい』
「ズボンか、そういえば僕って純さんと会うときはあんまりズボン履かなかったな」
思い返してもスカートやワンピースばかりである。
そんなことを思っていると純からさらなるメッセージが届いた。
『最初に会ったときの格好や今日の服装も私は好きだぞ』
ズボンのことを考えていた心だが、純のこの一言はうれしい。
普段の服装は心や服を提供してくれる理貴の趣味でもあるし、今日の服は真希が買ってくれたので猶更思い入れがあった。
「また着よう」
そう思いつつ純へ返信する。
『また着るね。ズボンも今度履いていくよ』
何気ないやり取り。
今日のデートはどうだったか、次に着ていく服はどうするか、そんなことを話し合う楽しい時間。
この時間は心がメッセージを打ち込みながら眠ってしまうまで続く。
心が眠ってしまってから少し経つと、幸せな寝顔の彼の端末に純からメッセージが届いた。
『おやすみ』
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