第15話 理貴の寂しさ

 純は思いのほか早く到着した。純は車から降りると心、理貴の二人に挨拶し、心の服装についても言及した。

「心、今日はワンピースなのか、珍しいな。いつも黒や紺が多いが、白いワンピースも似合っている」

「えへへ、ありがとう純さん。純さんも今日のジャケットは透かし迷彩なんだね。シックな大人って感じがするよ」

 心も純の言葉に喜びつつ、純を褒める。

 その様子を見た理貴は、どこか疎外感のようなものを感じつつも二人の仲が(かなり)良さそうだと安堵した。

 正直に言えば、さっきまで理貴は少し不安だった。

 理貴は、心が失恋の反動のようなかたちで純と付き合いだした可能性を捨てきれずにいたのだ。

 今回、理貴は二人の様子を見ようと(心と一緒にいたいというのも多分にあったが)、心とともに純を待っていたのである。

 理貴が安堵している間に心たちの話がひと段落したらしい。

「お姉ちゃん、ぼくは純さんの家に行くよ。ありがとう」

 まるでお嫁にいくような言い方だな、そう理貴は思いながら車に乗る心を見送った。

「いや、ココロちんの場合は婿か」

 そう口に出したときには既に純と心を乗せた車は見えなかった。

 一抹の寂しさを感じつつ家に戻った理貴の背中に風が吹き付けた。

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