第2章 心と真希と純

第13話 純さんの家へ行くことになった

 心と純が交際してから数日後のこと。心の端末へ純からのメッセージが届いた。

 『私の友人が心に会いたがっている。私のことも話しておきたいし、よければ私の家へ来ないか?』

 内容自体は簡潔な文章だったが、心は読んだ時点で既に落ち着かなくなっていた。なぜなら心は純の事を全くといっていいほど知らないのだ。純の友人なんて想像もつかない。

 そして、心には僅かな、しかし、確かな不安もある。

 純は財閥の生まれだと聞いている。純の生活を知ったら、自分とは住む世界が違うと思い知らされるのではないか。そんな想像さえしてしまうほど。

 純の家へ行く。純の友人に会う。そして純の事を教えてもらう。言葉にすればたったそれだけのことでも心にとっては一大イベントである。

 そんな心は、まだ純の家へ行く日程さえ決めていないのに今から落ち着かなくなってしまう。

「おやココロちん。そんなにソワソワしてどうしたんだい?」

 そこへ次女の理貴がやってきた。

「あ、お姉ちゃん。ちょうどいいところに」

 ここぞとばかりに次女のもとへ近寄る心。

「へ?いったいなにごとかね?」

 突然のことに困惑する理貴。

 心は深呼吸して話し始める。今の状況、これから起こること、そして理貴へのお願いを。

 

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