#39 凍てついた瞳
サイクロプスと別れた後、俺は《ディオ―ネ》に戻った。
「おかえりなさい!」
リシテアは手を振っている。
「おかえりなさい……」
イオは元気無くおかえりなさいと、言った。
「ああ、ただいま」
「問題は解決したの?」
そうリシテアは訊いてきたので俺は答える。
「ああ、解決したよ」
「そうなのね~良かったわ!」
と、リシテアは俺に抱きつき……、
「ちょっ、ちょっと待て!」
「だ~いすき」
そう言いながら俺の首筋にキスをする。
「はうわっ」
いきなりのことで驚いた俺は変な声が出た。
「…………」
イオは黙ってこっちを見ている。
俺はリシテアから離れる。
「イオ? どうしたんだ?」
「なんでも……ないです……」
「……イオちゃん」
リシテアは何かを察したようだった。
なんだか気まずい雰囲気になって三人は黙り込む。
最初に沈黙を破ったのはイオだった。
「さっ! 次の
さっきまで暗かったイオはいつも通りに戻っていたように見えた。
「次は何処に向かうのですか?」
「カリロエって村にレアって娘がいるんだが――」
「――カリロエですね! じゃあそこに向かいましょう! 出発ですよ!」
イオは俺の腕を引っ張り……強引に連れ去られていく。
「お、おいイオ?!」
イオに引っ張れられながらふとリシテアの方を見る。
リシテアは何かを考えているようだった。
「…………。少し距離を置いたほうがいいのかしら……?」
リシテアはボソっと何かを呟いた……。
◇◆◇◆
《カリロエ》に辿り着いた。
ここにレアが――あのレアがいるのか……。
村を見渡すと。少女が立っていた。
ぽつん、と一人。
白い長髪に、白い瞳。
「レア……ッ!」
「お兄ちゃんっ……!」
その小さな少女は、はぱたぱたと小走りでこっちに来る。
「お久しぶりですっ!」
「ああ、久しぶりだな! また
俺はレアの髪を撫でる。
「わたしもっですっ!」
レアはリシテアとイオの方を見る。
「それとっ……お姉ちゃんとイオさんもっ!」
「レアちゃん……ッ!」
リシテアはあの時の事を思い出していたのか泣いていた。
「お久しぶり……です……」
「イオさん?」
「…………」
「あっ……イオはだな……」
俺はレアにいままでの経緯を話した。
「そんなことがあったのですね……」
「……さて! 次はコ―デリアちゃんに会いに行くのかしら?」
とリシテアは言う。
「そうだな。コ―デリアで
「ふふっコ―デリアさんで
「ああ、やっとだな」
あれ? 本当にそうだっけ?
「コ―デリアちゃんと合流したらみんな揃うのね! お姉さんワクワクするわ!」
「ああ、全員揃うのが楽しみだ」
全員……揃うんだっけ……?
それにしても……。
イオの様子を見る。
「…………」
イオは
彼女たちの記憶がないから、ぎこちないだけではないのか?
なにかがおかしい。
俺達は《カリロエ》を去り。コ―デリアを探しに《カロン》に向かうことにした。
◇◆◇◆
前回ここに来た時の記憶を頼りにコ―デリアが以前居たはずの場所に向かうことに。
道中にモンスタ―が何体かいたが、このエリアのモンスタ―は敵ではなかった。
バッサバッサと現れるモンスタ―をなぎ倒しながら進んでいく。
そして、彼女を見つけた。
黄色の髪に瞳の少女。
コ―デリアは俺を見つけると目をうるうるとさせていた。
「コ―デリア!」
「ハヤト様ッ!」
コーデリアはぱたぱたと走りながら俺に向かって駆けつけてくる。
「わたくし、もう逢えないのかと……。
ハッ! あ、貴方のことなんて何も考えて無かったんだからッ!」
「はいはい……これからもよろしくな。コ―デリア」
「ハヤト様……っ」
コ―デリアは泣きじゃくっていた。
そして俺以外のみんなにも挨拶をする。
「リシテアさん、レアさん、イオさん」
「わたくし……皆様に再開出来て良かったですわ!」
コーデリアは泣きながら、俺達を見た。
「私もコ―デリアちゃんに会えて本当に……良かったっ」
「わたしもっコ―デリアさんに会えて良かったですっ」
「私も……会えて良かった……です……」
「あら?」
コ―デリアはイオの違和感に気づく。
俺はコ―デリアにイオのことを話した。
「……さてと、全員揃った事だし。《ディオ―ネ》でパ―ティでも開くか!」
「それは素晴らしいですわね……!って別に貴方達のことをうんたらかんたら……」
「パ―ティ! そうしましょう!」
「わたしもっ賛成ですっ!さあっ《ディオ―ネ》に向かいましょうっ!」
「…………」
イオは黙り込んでいる。
イオ……一体どうしたんだよ……?
彼女に違和感を感じながらも俺達は《ディオ―ネ》に向うことにした。
ついに、リシテア、レア、コ―デリアと再開した俺。
やっとみんなと再開できた。
一時期は
だからと言って油断しているわけではないが……。
彼女たちは絶対に死なせないし、このゲ―ムだってクリアしてみせる。
……そして、俺達は気づいていなかった。
イオの瞳が――赤色から水色に変化していることに。
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