第1話

「で、どうすんのこれから」


 運転席。地上げ屋がこちらを向く。


「品定めをする。その前に、全ての相手の貌を見ておきたい」


「私の胸を見てた三人目ね」


「残りのふたりは、モールと商店街で間違いないのか」


「たぶん。なんでわたし逃げられたって、途中でそのふたりが鉢合わせして戦い始めたっぽいんだよね」


「闘うということは、敵対してるってことですね」


「じゃあ、その裏を取ってもらいます。小間さん」


「はいはい」


 小間が着ている袖に手をやった。そこに通信機があるらしい。


「11057。11057。この車の持ち主が車を乗るにあたって、近くで暴行事件が起こったか調べろ」


「へい、どこへ行きますかお兄さんたち」


「駅前。軽く一周して、どこが食いつくのか調べる」


「駅前ね」


「うわっ」


 急加速。


「おまえ運転荒いな」


「違うわよ。釣り出すためなんだから、テキトーに運転したほうがいいってわけ。加速したり減速したりして、いかにも、みたいな感じで走るわ」

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