第3話

「いま、どんな感じになっているのかの説明をざっくりとお願いします」


「ええと、まず、郊外の土地を狙って」


「モール、地上げ屋、国交省の三つ巴ですね。そこに更に敵対勢力が絡むと」


「うわ説明要らねえ」


「どこと組んだのですか、崎敷さんは」


「地上げ屋です。ワイルドカードもそいつが持っています」


「ワイルドカード?」


「店長から聞いてないですか」


 自分は、ワイルドカードと呼ばれている。何かの抗争があったとき、そのいちばん重要な書類は、だいたい自分のところに回ってくる。だから、ワイルドカード。今回も、土地の権利書は自分の手中。


「まあいいや。いま地上げ屋の回りに三人張り付いてまして、ふたりは分かるんですけど三人目の素性が分からなくて」


「それを探すところから、ですか」


「いえ、車を運転してもらって、まずは郊外の土地へ。特殊部隊とやらが気になるので」


「分かりました。車持ってきますので少々お待ちを」


 小間が消える。


 そして、電話。


『ちょっ、胸が危険です。凝視されています』


 地上げ屋。はあはあという声。たぶん走って逃げているのだろう。


「がんばって逃げて。いい靴履いてるんだろ」


「えええ」


「今から動くところだから。とりあえず三時間は持たせろ。胸を揉まれそうになったらそのカードは渡していいから」


「貞操の危機っ」


 電話を切った。下ネタを聞く気分ではない。


「お待たせしました。こちらにどうぞ」


「なぜトラック」

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