第27話 ネットで稼ぐ。みんな同じことを考えてる。
この際、定職に就くか、ネットで稼ぐ道を模索するか。
とにかく、ネットで情報を得ることから始めようと思いました。
過去の就職活動を鑑みて反省すべき点は、こだわりすぎたことでした。
悔しいけど、あの就職課のニュースキャスターのような男はあっていた、と歯がみしています。負けたような気分で悔しいけど。
Googleで「コロナ 転職」と打つと、この時点で検索候補として、「コロナ 転職 やめた」という検索ワードも出てきました。「やめられてうらやましいよ」とそれを見ながら、小さく呟きました。「コロナ 転職 影響」と検索をかけました。
検索結果のひとつめがそのままドンピシャだったので、そのサイトをクリックしました。そこにコロナが流行りだした頃の二月と四月を比較してある表が載っていました。
この期間に各業種とも業績が悪化し、変動費を縮減し、投資を最低限に抑えることをしているようです。同時に固定費の削減をしつつある業種も出てきたとあります。ユミたちはこの「固定費削減」の名の下に解雇されたんだな、と読みながら思いました。
さて、このサイト、気づくとIT系の専門職を扱うサイトでした。それでも二月と四月の求人の表を参考に見てみると、医療・健康分野以外は全て減っていました。なかには七〇%になっていた業種もありました。
別のサイトを見ると、「冠婚葬祭や観光・レジャー、飲食、が今回のコロナ禍の影響を強く受けている」という文言を見て、溜息をついてしまいました。
芸術系の学部卒業で、フリーターをずっとしていたユミにとって、やれることはこの三つに集約されています。自分に専門的な知識や技術がないことを悔やみました。これから勉強している時間はないし、それを身に付けられるのか自信がないし、切歯扼腕とはこういうことかと思っていました。
一応転職サイトを回ってみました。それはチェーン店のカフェショップの社員の求人があって、背に腹は代えられぬ、と応募しようと電話をしました。ところが。
「一応ですね、サイトに求人は出してますが、ちょっとこういう情勢でして。ちょっと求人は一時停止しておりまして」と人事担当の男性に丁寧に言われました。
何件か、電話してみましたが、やはり同じような感触でした。
一件だけ、オンラインで面接をしてくれるということになり、その日のうちにZOOMを使って面接をしました。しかし、その後メールで、「転職活動の成功をお祈りします」という祈りの言葉が送り返されました。
それから三日ほど同じような活動をしてみましたが、手応えもなく、失敗が続きました。
ネットで稼ぐというのを本気で考えはじめました。
誰にも相談できない気がして、そのあらましをTwitterで呟いていました。なぜか、「いいね」のハートマークがつきました。
調べてみると、いくつか手があるようです。
ライター、ブロガー、YouTuber、など何かを発信できる人間を中心とした分野です。広告料で収入を得ているようです。
あとは業務委託、文字起こし、事務作業の代行などがあります。
そして、せどり。情報を得て、足を使って、物を仕入れ、転売する仕事です。マスクの転売などで悪名が高くなってしまった分野です。
社会全体が動いので、特に発信する仕事は広告料が減収しているようです。すでに人気を博している人間ならば問題がないですが、新規参入でもうけられるのは、芸能人くらいでしょう。
ダメ元で、業務委託の仕事に応募しました。文字起こしに応募してみたのですが、社会が動いていない以上、文字起こしの必要な講演などがある気がしませんでした。
腹いせに、Twitterで「誰か仕事くれ」と呟きました。
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