第8話彼はチーレムがしたかった

「どうしましたか?勇者様?チートスキルは使わないんですか?」


高河に訓練して欲しかった僕は、彼をボコボコにした。


「なっ……なぜだ!俺はチートスキルを!」


「黙って下さい!そんなのは戯言たわごとです!訓練にも参加しないで、剣が扱えると思わないでください!」


僕は槍を訓練場の地面へと突き刺して、彼の胸ぐらを掴む。

(この人にはこれぐらいしないとダメだ)と思いながら僕は彼に鋭い視線を送る。


「なんだよ!他の異世界転生者や召喚者はチートスキルを授かっているんだ!そんなの理不尽じゃないか?俺だけ、チーレムは無理なのか?違う!俺だって、あいつらみたいに、イケメンだし、性格も良いだろ!」


(ダメだ。この人は、プライドがどうこうとか言う問題じゃない……)


僕は高河を離す。


「わかりました。スキルが欲しければ、魔王の所に行ってきてください。まぁ、あなた様にそんな勇気もあるはずもないでしょうがね。それが嫌なら、訓練に参加して下さい!あなたにはこの国の命運がかかっているのですよ!沢山の命がかかっているのです!命を軽く見ないで下さい!理不尽は重々承知です!

それだけ、私達も危険な状況にあるのです!」


僕は息を切らしながら、高河を叱る。


「理不尽だ!折角、異世界召喚されて、チーレム生活を送れると思ったのに!俺を返せ!日本に返せよ!」


僕は、槍を武器庫にしまう。


「わかりました。王様に報告に行きましょう。ついて来て下さい」


この後、勇者第一号の『南部高河』は異世界に送られるはずだった……。

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僕らは勇者を待っている 世も末コウセン @kota3383

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