第6話この勇者は戦えない

その後、高河は訓練に参加することもなく、初の仕事に就く事となった。


「俺は何をすれば良いんだ?」


「とりあえず、その辺を徘徊している骨兵スケルトンを狩りましょう。戦うための基本は、本番で覚えるのです」


「はぁ?そんな事をなんで俺がしないといけないんだ?俺は魔王を倒すほどのチート級のスキルがあるんだ!」


(もう……聞き飽きた)


「わかりました。とりあえず、勇者様のお力を見たいので、あのスケルトン3体を倒してきてください」


僕は、勇者に訓練に参加してもらいたかった。


「そこまで言うのならやってやろう」


(あの人の自信はどこから来るんだろう……。訓練なしで、スケルトンは倒せないんだけど。それに、休んでいた間はずっと女性と遊んでいたらしいし……)


そう思いながら、僕はため息をつく。


「よく見ておけよ!」


「はーい」


さて、訓練なしの勇者の実力を拝見と行くか。


僕はいつでも助けられるように槍を構える。


勇者は剣を鞘から抜いた。

だが……。


「なんだよこれ!重たい!」


(ほら、やっぱり……)


訓練なしに剣を扱えるわけがないのだ。


「くっそ!くらえーー!」


なんとか振り回した剣はスケルトンとはまったく違う方向に振り下ろされた。


「なっ!」


ドシっという鈍い音を出しながら、高河はスケルトンに殴られて、倒れた。


「あーあー」


僕は高河の近くにいたスケルトン達を素早い手付きで粉砕していく。 


(大量の骨粉は、作物の肥料になるので、とりあえず持って帰ろう)


僕は気絶している勇者を見て失望の感情に溺れる。


(はぁ、やっぱりダメだったか……)


気絶する勇者を担いで、僕は帰還した。

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