第34話 フラムス奪還作戦

「ま、こんなことグチグチ言ってたって仕方ねぇわな。作戦立てよう作戦。」

しばらくの沈黙の後にライが口を開いた。


そうはいうけど、俺はどうも引っかかっていた。

神が伝えたあの重力の使い方は、多分日本で言うところのブラックホールなんじゃなかろうか。

それになんで俺は転生してから使んだ?

日本語のつもりで話してても、本当は神の力で歪められてるのか?

でもさっきの筆談で漢字使ったし.....。


「賢司郎さーん。賢司郎さーん。」

気がついたらイオが俺の頭をゆさゆさしていた。

「あっ.....ごめん。」

「いいよ...なにか考えてんだろ。優秀な部下が出来て俺ァ幸せだな。」


言うてくれる。言われなくてもこれから馬車馬の如く働いてやらぁ。


「優秀な部下さんよ。早速仕事の依頼なんだけどあの城を落とす方法を考えて欲しい。必要な情報で俺が知ってることは全部おしえてやる。」

「...そりゃ考えさせて貰うけど...優秀な上司様のが土地勘あって考えやすいんじゃないの?」


「それはやぶさかでは無いんだけど...。姉上の事を思うと今すぐあの城に突っ込んじまいたいくらいなんだよ。自分で言うのもアレだけど、私情に駆られて最善手が取れないのがいちばん怖い。だから第三者と一緒に考えるんだ。」

「.....そんなもんか。」


引き受けたはいいものの、そもそも予備知識ゼロのやつに頼むのもムチャクチャな話だなって、少し考え出してから気がついた。

質問したいことなんていっぱいあるさ。

でもまず優先すべきことがある。


「あの.....城の内部の地図とかあったりしない...?でなきゃ、内部の構造知らない...?」

「.....だよなぁ〜。それがないんだよなぁ〜。」

いやいやいや無謀すぎるだろ


「イ...イオちゃんはなにか覚えてない...?」

「来たことあるかもですが、覚えてないです...。あ、ヴァイヤの1番大きいお城のならわかりますよ!」

「それめっちゃ重要なんだけど今じゃないなぁー。」


俺はガクッと方を落とした。

「しらべらんないの.....?」

「魔法はブロックされますね...。どこかで強力な魔法を出して、それで壁を作ってます。」

「発生源とかつきとめられればなぁ...。」


俺はまた天を仰いだ。

現代日本、とりわけ東京なんかでは見れないような満点の星空が広がっている。


「分かったー。魔力感知に引っかからないお前が侵入して姉上を救出して、おわったら俺とイオちゃんで突撃すればいいんだー。」

「城の中身がわかんねーと出来ねぇっての!」

「えー。でも俺聞いたことあるよー?噂によるとニホン人はスパイ活動のプロだって。」

「ジャパニーズニンジャはもういないの!てかどこできいたんだそんなもん!」


ライは明らかに不満そうな顔をして、えーニンジャいないの〜?なんてブツブツ言っている。


「でもまぁ、内部とか姉様の居場所さえ分かればいい感じの作戦かもしれない。理にかなってる。」

「一応場所が分かりそうな手がかり的なもんはあるんだけど...。」










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