第8話 E_502_O

「さらっと裏切り行為じゃん!いいのかよ!いやいいんだけど!!」

「まぁ、製作者様であらせられる神様がそう言う設定にしたわけですし‥‥ねぇ?」


え、ノリ軽すぎない?これ普通なの?

「えっとその‥‥E_‥‥ちゃんは任務無視しちゃって大丈夫なの?壊されるとか言ってなかった?」

「お城に戻っちゃったら壊されるでしょうが、戻んなきゃ大丈夫です!」


少女は大きな目をキラキラさせて言う。

やばい。目的地じゃんか。

「俺さ、一年後にそこに乗り込んで神と戦わなきゃなんだけど」

「じゃあその時かんがえます!」


「あのさ‥‥襲わないどころか協力までしてくれてかなりありがたいんだけどさぁ‥‥。」

「そうですね!命令実行の意味がなくなりましたので!」


正直この子の裏切り正当化理論は理解できない。

あの狡猾な神のことだ、これも罠かもしれない。


でも‥仲間を選り好みできるほど余裕はない。

「うん‥‥わかった。君の神を敵に回すことになるけど、いいかい?」

「了解です!」

「その‥‥絡繰少女部隊?も裏切ることになると思うよ?」

「のぉーぷろぶれむです!」

少女は腕をぶんぶん回しながら答えた。


そこまで言うんなら、とか言ったら上からだけど。

本格的に神を怒らせることをするのに何故か心強い気がした。


「色々な回路がほとんどエラーかバグったので覚えてますよ!賢司郎さんですね!よろしくです!」

「うん。よろしく‥‥E_‥‥‥ちゃん。」

「やっぱこの名前変ですよねぇ‥E_502_Oです」


コードネームなのだろうか。

ロボットでも普通の名前つけてやろうぜ‥‥。


「あだ名とかでもいいかい?そうだな‥‥EとOでさ、イオちゃんとかどう?」

「わかりました!イオでお願いします!」


わぁーい、きっと私は初めてあだ名のある絡繰少女部隊員だぁ〜、と言いながら草原をスキップするイオちゃん。

ドラえもんもびっくりのハイテクロボなのだろう。


「そうそう、さっき凄い速さで飛んできたけどさ、あれも魔法なの?それともそう言う‥‥プログラムとか?」

「ふっふっふ〜。これこそが絡繰少女神のお人形部隊の最たる特徴!機械でありながら魔法も使えるのです!」


まぁーなんて便利な世界。

俺以外は。


「なんでもありだなぁ‥‥さっきの高速移動ちょっともう一回やってみてよ。」

「了解です!」


イオはくるりと背を向けると、そのまま高速移動‥‥しない。

それどころかびくともしない。

「え、どうしたの?故障?」

「こ、こ、故障では‥‥ないです。」

「じゃあどうしたの‥?」

「設定初期化されて‥‥やり方忘れました‥‥。」



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