第73話 戦闘終了

「勝った…のか」


ミノタウロスの絶命を確認したアレクが仰向けに倒れる。


息が荒い。全てを出し尽くしたような疲労感がある。


レイラへと振るわれたミノタウロスの拳。阻止しなければという想いが天に通じたのか、世界が塗り変わるような感覚と共に自分がどう行動すればいいのかがわかった。


結果的には誰1人欠けること無く勝利することが出来たが、危うかった。


リスクとリターンを天秤にかけたとき、リターンの方が大きく、乗り越えらなければならない闘いと踏んで挑んだ。


死者を蘇らせる術は存在する。


しかし、教会でも限られた者にのみ使える秘術のため、莫大な費用がかかる。

それに死ぬ瞬間には文字通り死ぬほどの恐怖と死ぬほど痛みを感じてしまう。

そのため、冒険者を続けられなくなってしまう者や日常生活に支障をきたす者も珍しくなかった。


アレクはそれらを考慮して、出来るだけ仲間を危険に晒さない道を選んできた。

ただ、今回に関しては後悔はしていない。賭けに勝ったのだ。


「レイラ、大丈夫か?立てるか?」


ギルがレイラを助け起こしている。今回の戦闘ではギルはあまり疲弊していない。『全反射の盾』は使用者に負担がない。持ち手がミリアでも問題ないほどだ。


「えぇ、なん、とか」


アレクの刀が無ければ今頃首から上はなかっただろう、そう考えると膝が震えた。


ギルの手を借りてなんとか起き上がる。横に倒れているミノタウロスが迷宮に魔素となって消えていくところだった。


「ドロップアイテム出たー!」


「これは、指輪?」


近くに寄ってきたミリアとルミエラが騒いでいる。赤いルビーのような宝石の嵌った指輪が一つ、床に落ちていた。


「力の指輪だね。着けた人の力を増幅させるマジックアイテムだったはず。これもレアアイテムだよ!」


ロイも珍しく興奮している。それだけ今回の戦いに勝利した喜びが大きいのだろう。


ひとしきり喜び、全員で部屋の奥の転送陣へと移動した。


「さあ、帰ろうか!」


アレクの声と共に転送陣が光を放つ。そうしてアレクたちは迷宮をあとにした。


〜RESULT〜

最高到達階層…第10階層

ドロップアイテム総額…100万ルピー(売却せず)

クエスト報酬…20万ルピー

支出(使用したアイテム、食料など)…2200万ルピー

目標金額まで…???ルピー

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