第63話 前前前夜
アレクがテオドラからの出資を取り付けた次の日にはアレクたちのパーティの口座にステカを通して2000万ルピーは振り込まれていた。
その金を使ってアレクたちは次の探索への準備に奔走した。
そしてその翌週、週の中日に全員で集まりミーティングを行うことにした。
「これで、今回のミノタウロス討伐に使うものはすべて集まったな」
手分けして集めたミノタウロス討伐のために使う道具を一旦まとめてアレクのアイテムバッグへとしまった。
「作戦はわかったし、かなり練り込まれていると思うけどほんとに大丈夫かな?僕がマイナス思考なだけならいいんだけど…」
「いや、俺はむしろこの作戦結構楽しみだぜ!どうせやるならこれくらいのスリルはねぇとな!さすがアレクだぜ」
カカカッ!とギルが笑う。他の仲間たちも不安はあるものの、ここまでやれば大丈夫という実感を得ていた。
「ロイの不安はよく分かるが、以前説明したとおり今回のミノタウロス討伐はこれからの計画の第一歩だ。このタイミングで倒すことに大きな意味がある」
アレクはテオドラの元を訪れる前に、仲間たちに自分の計画を説明していた。それは確かにアレクたちを億万長者へと導くロードマップではあったが、前例のないことだらけで仲間たちを困惑させた。それでも粘り強く説明し、理解を得ることが出来た。
アレクの発想は他に類を見ない斬新なもので、ロイは改めてアレクという人間の思考がずば抜けていることをこのとき実感した。自分とは違う頭の良さであると自惚れではなく再認識した。
「よし、作戦についても説明し終えたし、準備も終わった。後は気力を高めるだけ!今日は前前前夜祭だ!パーっとやるぞ!」
アレクが急にガラッと態度を変え、オオッ!とミリアとギルが歓声を上げて応える。ルミエラは無表情だが少し楽しそうに見える。レイラは急な雰囲気の変化について行けておらず、ギルたちに少し遅れて「お、おお!」と歓声を上げ拳を突き上げた。
ロイは先程抱えていた心配が馬鹿らしくなり、ため息をひとつ。仲間たちの輪に加わってこの場を楽しむことにした。
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