第60話 ミノタウロス
「ブモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
部屋の中央でミノタウロスが雄叫びをあげる。アレク達からは30mほどの距離がある。
「これだけ離れてるなら、試してもいいよね?」
そう言ってロイは無詠唱で魔術を放った。
「ウインドカッター!」
巨大な風の刃が2つミノタウロス目掛けて飛んでいく。その刃は確かにミノタウロスの体に命中したが、
「なっ!」
ロイが驚くのも無理はない。
ロイとしては会心の魔術だったが、ミノタウロスが無造作に振るった腕に2つとも弾かれた。
しかもダメージはほとんど無いようだった。
「それなら、これでどうかしら?」
ミリアはロイの魔法が弾かれた瞬間、3本の矢を速射で放っていた。現在のミリアの身体能力で放たれた矢はコボルト程度であれば貫通するほどの威力である。
すべてミノタウロスの胸部へと吸い込まれるように飛んでいったが、頑丈な毛皮に弾かれ刺さることすらなかった。
「嘘でしょ…どうやって倒すのよこれ」
ミリアが絶句する。今の状態ではダメージすら与えられない。勝つイメージが湧かなかった。
ここまで様子見で距離を取っていたミノタウロスだったが、敵に有効な遠距離攻撃の手段がないことがわかると獰猛に笑い、二足歩行でアレク達の方へと走り出した。
「グオオオオオオオオオオ!」
「まずいな…みんな、近寄れ!脱出する!」
アレクはそう言って転送石を使う。ミノタウロスとの距離が後数メートルとなったときにアレクたちはギリギリでダンジョンを脱出することが出来たのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます