第59話 荒野の洞窟 第10階層

休憩後、アレクたちは探索を続け、二日目の深夜についに10階層へと到達していた。

階段を降りきってすぐの光景にロイが指を指して言った。


「ここが10階層か。随分と禍々しい扉があるね」

「5階層が中ボスと呼ばれる所以だな。見るからに区別してくださいと言わんばかりの様相だ」


アレクも話には聞いていたが実物を見るのは初めてだった。巨大な扉の縁には宝石のような光る石でゴテゴテとした装飾が施されており、不気味な威圧感を放っていた。


アレク達は扉の前で小休止を取りながら、この後どうするか話し合っていた。


「探索の最初に今回はボスの討伐が目的ではないと言ったが、せっかく来たから姿だけでも見て行きたいんだがみんなはどう思う?」


ボスからの逃走方法は2つある。1つ目は扉から出ること。2つ目は転送石を使うこと。扉からでるには殿しんがりの人間が出切るまで時間を稼がなければいけない。

転送石を使うには全員が一箇所に固まる必要がある。


「今回は姿を見て即転送石で離脱するってことよね?いいんじゃない?」

「余裕がありそうなら魔法で遠距離から攻撃してみようか?」

「そうだな、その判断はロイに任せよう」


他の仲間達も異存は無かったので一瞬だけ姿を見てから撤退することにした。


「よし、じゃあ開けるぞ」


ギルが扉の取っ手に手をかけて開けた。


部屋の中はジャイアント・トードがいた5階層の部屋と酷似しており、だだっ広い空間の中央にそれは居た。


「ブモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


部屋の中心にいた巨大なミノタウロスがアレクたちの侵入に気づき、雄叫びを上げた。

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