第56話 キラーホーネッツ
7階層からは空を飛ぶ魔物が現れる。キラーホーネッツと呼ばれる大きな蜂型の魔物で、動きはあまり速くないが三次元的に襲いかかってくるため慣れていないと対処が難しい。
しかし、アレクたちにとってはあまり障壁とはならなかった。
「風よ、一塊となって彼の者の侵入を拒め、『エアウォール』!」
ロイの生み出した風の壁によって向かって来ていたキラーホーネッツの勢いが完全に止められ、一瞬空中で静止する。
「隙だらけだな」
その瞬間を見逃さずにアレクが一瞬で距離を詰めて、キラーホーネッツを縦に両断した。
戦闘を終え、アレクは疑問に思っていたことをロイに尋ねる。
「その詠唱って必要なのか?無駄じゃないか?」
「イメージが固まるから魔力の無駄が減るんだよ。余裕があれば言っていったほうが連戦出来るんだ」
「なるほどな。にしても狭い空間だとあの風の壁は便利だな」
「そうなんだよ。屋外だと使い道限られるんだけど、こういう狭い通路とかだと結構使い道あると思うんだよ。例えばさ…」
そんな軽口を叩きながらロイとアレクは眼前で行われるギルとミリアが相手どったもう1匹のキラーホーネッツとの戦闘を見ていた。
2人は意気揚々と戦闘を開始したのだが、かなり苦戦していた。
「おい、ミリア!ちゃんと狙えよ!もう3回も体当たりを弾き返したんだぞ!」
「うるさいわね!上下にも動くから弓矢じゃ狙いにくいのよ!文句があるなら動きの1つも止めなさいよ!」
「そこまで言うならやってやらぁ!」
ギャーギャーと騒ぎながら2人は戦いを続けている。ギルは4回目のキラーホーネッツの突進を盾で弾き返すときにそのまま、
「オラァ!」
気合いで壁に叩きつけた。衝撃で動きの鈍ったその瞬間にキラーホーネッツは頭部をミリアの矢に撃ち抜かれた。
「ハァ、ハァ、なんかおまえ荒くないか?もうちょっと落ち着いて戦おうぜ…」
「ハァ、ハァ、ええそうね、ちょっと落ち着くわ…」
ミリアは戦いを終えて少し冷静さを取り戻した。レイラが加入したとしても自分がやることは変わらない。まずは自分の仕事に集中する、そう言い聞かせた。
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