第55話 5階層

「次の階で5階層だけど、ジャイアント・トードとまた戦うつもりなの?」


ミリアが尋ねる。レベルアップとレイラの加入のおかげでここまでの負担はかなり少ない。

時間もまだ1日目の夕方で、余裕があった。


「いや、前回倒してるから今回は素通り出来るはずだ」

「中ボスは一度倒したら2回目以降戦うか選べるんだったわね」


5階層に着くと以前とは違いボス部屋の扉の横に下の階層へと続く階段があった。


どういう理屈かはわからないが、パーティで一度倒しているボスは2度目以降素通りさせてくれる。ダンジョン側で判定され、ボスフロアに着いたときには階段が現れるようになっているのだ。


今日は危険をおかしてまで中ボスと戦う必要はない。それよりも次の探索で10階層を攻略するために出来るだけ深く潜ってダンジョンの構造や魔物の強さを経験しておくことの方が大切だった。


その後もゴブリンやコボルト、角ウサギなどの魔物が現れるが、主にレイラの活躍で問題なく倒して進んでいく。


既に階層は7。最高到達階まで問題なくついてこれたことで、レイラが戦力的に問題がないことはわかった。


「よし、この階からはレイラメインの戦闘は止めにしよう。むしろ、レイラはここまでかなり戦ってきたから少し休みだな」

「ということは、パーティに入れてもらえるということかしら!?」

「いや、それは戻ってから伝えよう」


アレクはニヤっと笑いながらそう言った。


「意地悪ですの…」


レイラはしょんぼりしてうなだれている。

ミリアはその様子を見ながら、少しレイラから離れたところでアレクに耳うちした。


「アレクそんな意地悪言わないで、合格だって言ってあげなさいよ」

「まだ冒険は終わっていない。帰る前に死んでしまったら仲間になるもクソもないからな。あまりフワフワされても困るし」

「とかいって、どうせ可愛い女の子にイジワルしたくなっただけでしょー」


ミリアはフン!とそっぽを向いて先に進んで行った。

どうもご機嫌斜めだな、と思いながら原因が何か考えるもアレクには分からなかった。

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