第53話 六人目の仲間

ここまでレイラの隣で黙って話を聞いていたルミエラがおもむろに自分の大きな胸にレイラの頭を抱え込み、


「よしよし、偉いね」


と言ってなでた。


「ーー!?ルミエラ様、ちょ、なにを?」


「これまで、色々大変だったね」


そう言ってなで続ける。最初は抵抗していたレイラだったが、次第に泣き始めた。


「ーーはい、大変でした…お、お父様は倒れて、家も差し押さえられて、執事を務めてくれていた者の家に家族で押しかけてしまって、わたくしだけ明日もわからずにこの街に来て、だれも知り合いもいなくて、ううっ」


これまでの苦労が溢れたのか、レイラはそれからしばらくの間わんわん泣いた。そしてしばらく泣き続けると安心したのか眠ってしまった。


「よほど疲れていたのね…なんか最初怒鳴ったりして悪いことしちゃったわね」


「ミリアは間違っていないよ。実際、仲間にするにはかなりリスクが大きいと思う」


「でもアレクのことだから、最後は助けてあげるんだろ?義理人情に厚いからな」


「からかうなよ、ギル。まあ、今の話を聞いてしまったらなあ」


アレクには打算的な面がある。それは幼少期と商売人としての経験からくるもので、世の中の厳しさを理解しているからだ。しかし、一方で最後には義理人情で判断しようとする先天的な性格があった。


「一通り話は聞けたと思うが、みんなはレイラが仲間になることに反対か?」


言外に自分は賛成だということを伝えた。全員がふるふると首を横に振る。


かくして、六人目のパーティメンバーとしてレイラが加わることになった。初期の出資は見込めないからレイラは平社員からスタートかな、とアレクが言い、全員が笑った。

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