第47話 レイラ・クレストア

夕刻、仲間たちは「金の豚の丸焼き亭」に集まっていた。

ジャイアント・トード討伐の祝勝会と今後の冒険の方針相談をしようと考えていたのだが、


「アレク、誰、その女」


仲間たちがいるテーブルにアレクがレイラを引き連れてやってきたことで盛り上がっていた会話がピタッと止まった。


「女の子を同伴させてあたしたちに会いに来るようになったなんて、良い身分になりましたのね〜アレクさーん?ちょっと一回冒険が上手くいったからって羽振りが良すぎないかしら〜?夢の話はなんだったのかしら〜?」


「仲間より、女」


「違う、ミリア落ち着け、ナイフを下ろせ。あとルミエラ、睨むな。レイラが萎縮するし俺も萎縮する」


急いでレイラを紹介し、アレクは自分がレイラから聞いた話と状況を一旦伝えた。


「なるほど、仲間にするかどうかはここからの話の内容と実力次第だけど、いずれにしてもアレクだけで勝手に決めるべきじゃないから今日連れてきてみんなで話を聞こうってわけか」


「ロイそのとおりなんだが、もうちょっとオブラートに包んで言ってくれ…それじゃあレイラ、なぜ冒険者になりたいのか、なぜ俺たちのパーティを選んだのか、その辺りの事情を教えてくれないか?」


アレクが促すとレイラはコクリと頷いて、事のあらましを話始めた。


「わたくしが冒険者になりたいのは、何もない状態から身一つで大金を稼ぐ必要があるからですわ。それも、短期間のうちに。でなければクレストア家は滅んでしまいますの」


「?もうクレストア家は貴族じゃなくなっちまったんだろ?じゃあ平民になったんだから家をどうこうするっていうのは今更なんじゃねえのか?」


「ギル様の仰るとおり、我が家は貴族位を剥奪されました。しかし、我が家はもともと戦争での大功と質量魔法をもって伯爵位まで授かった家です。ここ数十年は芳しくありませんでしたが、貴族として領地を治めてきた実績もあります」


飲み物を一口飲んでからレイラは続ける。


「わたくしの質量魔法は公にされていませんが、もしかすると今後質量魔法の使い手が復活するかもしれない。そういう可能性も考慮して、いくつかの条件で貴族に復位できることになりましたの」


レイラは一呼吸空けて続けた。


「そのうちの一つが5年以内に1億ルピーを稼ぎ出すことなのですわ」

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