第45話 レイラとアレク
「それで、貴族のお嬢様がこんな商人風情になんの御用があるっていうんです?」
アレクは内面の動揺を表に出さず、相手の真意を尋ねた。
まずは情報を集めなければならない。
「あなたたちの過去の冒険を調べました。たった2回の冒険、それも週末の冒険だけでジャイアント・トードを討伐していますわね」
レイラはかなりこちらのことを調べてきているらしい。
実はアレクが自分の実力試しのために組んだ一部のベテラン冒険者たちがアレクたちのことを話しているのを酒場で偶然耳にし、彼らから情報を集めていたのだった。
「優秀な若手冒険者を探していたらあなたたちを見つけたんですの。それで後をつけさせていただきました」
平然と問題発言をする辺りなかなかの箱入りお嬢様だなと思いながら、アレクは対話を続ける。
「他にも若手で優秀な人ならいるでしょう。それに貴族の方が依頼をするならベテランで実績のある人の方がいいんじゃないですか?」
クレストア家が貴族では無くなることは既に知っていたが、そのことを悟られぬように答える。
実際アレクの疑問通り、通常は貴族が直接依頼するのなら実績のある冒険者の方が多い。
若手に依頼するとしたらよほど簡単な依頼か、費用を安く抑えたいからか、有望な若手冒険者に早いうちにツバをつけておきたいかのいずれかだが、いずれもロクな理由ではない。
「いえ、若手かつ冒険者としての経歴が浅い方が都合がいいの」
そんなこと普通あり得ないのだが、とアレクが思っていると、おもむろにレイラは頭を下げた。
「わたくしをアレク様のパーティに入れてくださいませ!」
飛び出してきた言葉は突拍子もなく、アレクを唖然とさせるのだった。
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