第40話 2度目の冒険を終えて
結局一行は7階層の途中まで潜っていった。そこで時間切れになったからだ。
ヘトヘトになりながら5人は街に戻ったが、あと数時間後には本業に戻らなければならない。
「今回はギルドにみんなで寄ろうか。報告の仕方は知っといた方がいいし」
アレクは今回の冒険を終え、なんでも1人でやろうとするのを辞めた。リーダーとして引っ張らないといけないという想いだけでなく、心のどこかで自分の判断で進むのが1番効率がいいという思いもあった。
だが、その判断によって仲間を危険に晒した以上、見直す必要がある。
そして何よりも、アレクが思っていたより頼りになる仲間たちの姿に、頼るべきだという想いが強まった。
4人はアレクが立てた作戦が一度失敗したときも動揺はしたが、必死に戦い、崩れなかった。
あのときパニックになって戦線が崩壊していたら今回の勝利もなかった。
仲間たちもアレクの意図が伝わったため反対はなかった。
全員でギルド会館の受付に向かう。
今回もサラが受付にいた。
「サラさん、クエストクリアしたから報酬の手続きお願い」
そう言って証拠となるジャイアント・トードの魔石を手渡す。
朝方でウトウトしていたサラだったが、驚きで目が覚めた。
「ーー⁉︎…お疲れ様でした。お手続きをしますので少々お待ち下さい」
冷静になって魔石を鑑定機にかける。落ち着くのよ私、まだこの魔石がジャイアント・トードのものかわからない。見た目の大きさから明らかにボスの魔石だが、一旦冷静さを取り戻して鑑定結果を待った。
結果は、ジャイアント・トードの魔石だった。
「…たしかにジャイアント・トードの魔石ですね。では報酬金をお渡しします。他に買い取って欲しい素材やドロップアイテムはありますか?」
アレクはすべて渡して換金してもらった。浅い階層なので装備に使うには脆すぎる。
『ジャイアント・トードの舌』も入手したが使い道が無かったので売ってしまった。
「…ありがとうございます。こちら報奨金5万ルピーと買取料17万ルピーになります」
とても新人の回収金額ではない、とサラは思いながら手渡した。
実際には転送石などでかなりお金を使っているなので、黒字は少しなのだが、サラにはわからない。
それを踏まえても驚異的な金額なのだが、アレクたちからすると強くなるのが優先で黒字なら御の字という感じだったため。
「ありがとうございます。さ、帰ろうか」
と淡白な反応だった。
「やっぱり大物ね…」
そう呟くサラは疑いを確信に変えていた。
そして、その姿を見送るものがもう1人、受付ロビーの端にいた。
フードをすっぽりと頭に被り、顔はわからない。
その人物はアレクたちの一連のやり取りを眺めていた。
「見つけた」
そう呟いた声は誰にも聞こえない。
アレクたちが声の持ち主と出会うのは数日後のことだった。
〜RESULT〜
最高到達階層…第7階層
ドロップアイテム総額…17万ルピー
クエスト報酬…5万ルピー
支出(使用したアイテム、食料など)…18万ルピー
利益…4万ルピー
パーティ総資金…504万ルピー
目標金額まで…4億9496万ルピー
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