第38話 vs ジャイアント・トード③

アレクはジャイアント・トードに弾き飛ばされ起き上がった後、突きが通らなかった理由を考えていた。


(情報を仕入れた冒険者からは、「ジャイアント・トードに気付かれず心臓を突けば、それで終わりだよ」と聞いていた。だからみんなに注意を引いてもらった上で超高速で接近して一撃で仕留める作戦を立てた)


聞いた情報が嘘であれば話は別だが、その可能性は低いとアレクは思っている。なにせ、メリットが少ない。恨まれる可能性が高く、意味があまりないからだ。


(情報が不十分だった可能性はあるか…)


思い返せば、刀は途中まで刺さったのだ。痛覚による反応で筋肉を固めたのであれば「気付かれずに突く」という行為自体がそもそも不可能ではないか。


そこで「あっ」とアレクは思わず声に出してしまうほどの気づきを得た。

過去にカエルの特徴についてこんな話を聞いたことがある。


(カエルは、動くものに反応する。速ければ速いほどに!)


アレクの動きを目で捉えることができていたのだとしたら、急いで筋肉を固めて攻撃を防ぐことも出来たはずだ。


意識外からの攻撃と言われ、見えないほどの速度で動くことをイメージしてしまったのが間違いだった。


魔物には動物などの生き物がマナによって変質するものと、ダンジョンのマナスポットによって無から生み出されるものの2種類があり、前者は魔物になる前の生態を引き継ぎやすい。


ジャイアント・トードがカエルの特徴を引き継いでいる魔物だとするなら…


咄嗟の考えではあったがアレクはこの発想に賭け、そして勝利を収めることが出来たのだった。

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