第30話 前代未聞
「まず、前回の冒険の収支なんだが、魔石は大量に回収したし、依頼もクリアしたんだが、転送石やスタミナポーションなんかの消費も多かったからけっこうな赤字だ。ザックリ7万ルピーかな」
「たしかにそれはけっこうな赤字ね…」
「コボルト討伐依頼を受けてればもう少し貰えてたんだがな。まあ、それは仕方ないとして今回は初回として俺が支払っておく。実は別のパーティに入れてもらって何回か潜ったときに少しお金も貰ってたしな」
転送石を使うことで週末2日での冒険が可能となっているが、その転送石のせいで赤字が膨らんでいる。なにせ一個10万ルピーで使ったら消えてしまう。そのため、早期に稼ぎを向上させる必要があった。
「おかね、一人で払うの大丈夫?」
「ああ、貯金もあるし今回くらいは問題ない。ただ提案なんだが、これからしばらくは冒険で稼いだ金は全てパーティ資金として使用していかないか?その方が不公平になりにくいし、より強くなれるから」
「まあそれはいいんじゃねぇか?全員本業の収入もあるから特に生活には困らねえだろうし」
「よし、じゃあそうしよう。そしてここからが今回のミーティングの本題なんだが…」
アレクは少し言葉を溜めた。ここで言い方を間違えると仲間とはいえ反対される可能性が大きい。
それくらい無茶苦茶な申し出でもあった。
「このパーティを株式会社化して、出資を募りたい」
アレク以外の全員が思わずぽかーんとしてしまうほど、前例のない話だった。
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