第29話 ジャイアント・トード

『ジャイアント・トード』

その名の通り巨大なカエルのような魔物で、体長3m、体重500kgほどもある。


カエル同様止まっているものは見えず、動いているものには素早く反応して攻撃してくる。主な攻撃方法は毒液と長い舌による打撃とのしかかり。


討伐依頼の報酬は5万ルピーでレアドロップ『ジャイアント・トードの舌』は10万ルピーで買い取ってもらえる。


「とまあ、俺が調べた情報はそんなところかな。転送石を使うと赤字だが、舌が運良くドロップすれば黒字だ」


さっきのアレクの話でなぜ討伐依頼を今回も受けるのかはわかった。

しかし最大の疑問が解消されていない。


「勝てるの…?」


ルミエラの言葉にミリアもウンウンと頷いている。ジャイアント・トードは初心者狩りとして有名で、ここを越えられずに冒険者を辞めてしまう者が全体の1割ほどになる。


ちなみに、最初の3ヶ月に冒険者を引退する人間は全体の3割ほどで、その中で一番多いのは最弱と侮っているゴブリンに勝てず自信喪失してしまうパターンだった。


「まあ、今のままじゃ厳しいな」


「ちょっと、軽く言ったけどどういうことよ!?勝算がないのに挑むつもり!?」


「俺は今のままだったらと言ったんだ」


「?話が見えねぇな。今週末にダンジョンに潜るんだから強くなる時間なんてねぇじゃねぇか。まさか潜りながら強くなってそのまま挑むとか無茶なこと言わねぇよな?」


「そんな博打じゃないし、平日に特訓もしない。俺たちが使うのはこれまでに稼いできた金だよ」


そう言ってアレクはニヤリと笑う。


「金の力で強くなるんだよ」

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