第27話 初めての冒険、それぞれの感想〜アレク〜

「想像以上だったな…」

アレクは今回の冒険を振り返り、そう呟いていた。

アレク以外の4人は今回の冒険は失敗したと思っているかもしれない。

たしかに仲間達には5階層を目指すと言っていたが、実際は1階層で引き返すことも十分あり得ると思っていた。


だが、実際には3階層まで到達し、アレク達の現在のランクであるFランクより1つ上のランクであるEランクのクエストまでたった2日でクリアして見せた。それもアレクの力抜きに。簡単に言えばアレクの想像以上のセンスを仲間が持ち合わせていたのだった。


ギルの耐久力と根性、ミリアの視野の広さと弓の腕前、ルミエラは初めてながら短い時間に3回連続で回復魔法を使ってみせた。中でも特に驚いたのは、ロイだ。魔法は魔力×変換式で強さや速さ、使用回数が決まる。魔力量は並と予備校で講師から言われていたロイだが、変換式の組み方が抜群に上手いのだろう。普通の魔法使いよりも遥かに素早く、連続して魔法を使い続けていた。


「まあ他にも予想外の要素はあったが、1年間計画した甲斐があったな…」

このパーティなら確実に成功出来る。そう確信できる冒険だった。才能がありそうだということは感覚的にわかっていた。性格が合うこともこの1年で確認出来た。


パーティの分裂がないだけでも効率は良い。そう考えてこのタイミングで計画を実行に移したのだった。

実際、それぞれの才能は想像以上だったし、自分の力がどこまで通じるのかもこれまでの数回の冒険と合わせて把握することができた。

コツコツと準備してきたことが実になった。努力してきてよかったとこれまでの時間を振り返っていた。


「俺が絶対に変えてやる。この国を…

待ってろよ、エリーゼ」

アレクの目は執念に燃えていた。普段は青いアレクの目が金色に光り、夜の闇へと消えていった。

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