第24話 初めての冒険、それぞれの感想〜ルミエラ〜

「…疲れた」

ボフっという音と共に自室のベッドに倒れ込む。町外れの教会に隣接する形で建てられた寮の様な建物にフラフラになりながらようやく辿り着いたところだ。


「…私、ほとんど出番なかった…」

今回の冒険を振り返る。回復魔法を3回使ったら数時間は休まないと次の魔法は使えない。その間ろくに戦う術をもたないルミエラは周りに守られているだけだった。


「自衛、特訓しよう」

次の冒険までに少しでも戦えるようにならなければ。あの人の足手まといにならないように。


(それにしてもアレク…)

ルミエラは思い出す。目の前で3匹のコボルトを屠ったアレクの動き。ほとんど目で追えなかったが、すべて終わった後の何も感情を読み取れない顔はこれまでに見たことのない、新しいアレクの一面だった。


(…超かっこよかった!!なにあれ!ただでさえイケメンなのになんであんなに強いの!?てか1年間誰にも言わずに鍛えてたって!人に勧めるからにはまず自分が強くないとっていう理屈はわかるけど、クール過ぎない!?普通話したくなっちゃうでしょ!「俺最近剣術始めちゃったんだよね〜」みたいな!!それを1年友達にも言わなかったって!)

枕を抱きしめうつ伏せでゴロゴロと転がりながらルミエラの思考はアレクに染まっていた。

ルミエラは口下手なだけで、内心は色んなことを考えている。むしろ考え過ぎて言語化が困難になってしまっている。そして、誰にも話していないが、大の隠れアレクファンでもある。


(ああ〜次の冒険が楽しみ過ぎて、今週何が起きても耐えられそう…とりあえず自衛術の質問をアレクにしちゃおっと!)

ルミエラはそんなことを考えながら次の冒険を待ち望むのだった。

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