第6話 冒険者になる理由①
「でも何も冒険者になるとして、何でこのメンバーに声をかけたの?アレクならもっと他に適した知り合いがいるんじゃない?」
ミリアの疑問は最もで、アレクは商会の下手人として街中を走り回ってきた。人口50万人程の都市だが、アレクの知り合いは驚くほど多い。
現役の冒険者に声をかければいいのではないか?ミリアの疑問はそこだった。
「いい質問だな、ミリア。その疑問の答えは三つある。まず一つ目に僕は冒険者に転職するつもりはない」
「…?俺が馬鹿なのか、さっき言ったことと真逆のことを言っているように聞こえるんだが…」
「ギル、僕も同じ意見だから君が特別馬鹿なわけではない。ちょっとだけだ」
「そうか!ロイがそう言うならそうなんだな!それでアレクよ、結局どういう意味なんだ?」
全員が疑問符を浮かべてアレクの回答を待った。
「俺の夢は大商人になることだ。そしてそのためには種銭だけじゃなく、各業界の人間とパイプを構築していかなければならない。お金で信頼は買えないからな。ここは時間をかける必要があるから、商人は辞められない」
そこまでアレクが話したところであっ、とルミエラが声を上げた。
「今の仕事を続けながら、冒険者もやる…休みに?」
その答えに対してアレクはうなずき、
「ご名答。つまりさっきの勧誘は『副業として一緒に冒険者をやらないか?』ってことだ。
そしてそんな提案にはここにいるみんなのように自分の本業で夢があるが金がないと叶えられない、そんな境遇の人間しか乗ってくれないと思ってな」
と答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます