第4話 冒険と、定職と、
「冒険者…?アレク頭でもぶつけたの…?」
「俺は正気だよミリア。少なくともお前よりは」
ミリアがそう言うのも無理はない。この世界には「魔物」と呼ばれる生き物がいるのだが、それは「ダンジョン」と呼ばれるマナが大量に溢れ出る異常発生地域で生み出されるものだ。
そのダンジョンに潜り、自分の命と引き換えに魔物の素材やお宝をダンジョンから持ち帰る人々、それが冒険者という職業だった。
「僕もミリアに同感だ。慎重かつ効率主義な君らしくない。どういう意図でその提案を僕らにしたんだい?全員が定職についているし、年齢だって冒険者を始めるには遅いと思うけど」
ロイの指摘は的確だった。命を懸けるというその性質上、冒険者になることはかなりリスクのある職業といえる。
また、大抵職業に就けない人間や一攫千金を目指すものが多いからか成人になってすぐ、15歳で冒険者になるパターンが多い。年齢制限があるわけではないが現在18歳の彼らがわざわざ転職して冒険者になるというのは世間的にあまり見られないケースである。
アレクが頭が回る人間だということを知っているからこそ、その場にいる全員が彼の真意を量りかねた。
その反応は予想通りだなとアレクは苦笑し、
「俺たち全員夢がある。その夢にはもれなく金が必要だ。そして今のままでは全員夢をかなえることはできない。それがこの提案の真意だよ」
と続けた。
そして全員がうつむいて考えこんだ。
(まあがむしゃらに働きながらそれぞれ状況を打開する方法を考えていたんだろうが、おそらくこれしか方法はない)
アレク自身ここ3年間働くなかで散々考えてきたことだった。
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