第14話 女子サイドでは…

<女子ペアの家>


「はあ、今日も疲れたなぁ。腕が筋肉痛かもな~」


「友結も今日は何かしたの?龍はプレイヤーの狙撃。そしてわたしと戦った。でも友結は見てなかったから」


「わたしも狙撃に徹していたね。わたしからも優梨は見てないけど」


「お互いに見逃したのかしらね。わたしは龍の方に集中してたし他の所に意識を向ける余裕なんてなかったわ」


「そうだ。それなんだけど、どうして優梨は龍と仲間になれたの?敵どうしでしょ?」


「それは龍が言わなかった?これからのことを考えて戦力は整える。そして最後に戦えばいいとのこと」


「………………龍がねぇ。戦力のために命懸けてまで、か…。龍の言った理由は本当のことだと思う?」


友結が疑問を投げかけてくる。実は龍が表ではあんなことを言っていても裏では何か別の理由があるのではないかと。


「…………………………嘘ね…。最初、わたしの姿が見えない時は確実に殺す気でいたと思う。なぜだろう。この短時間の中で感じた。あの男がそんな理由で見ず知らずのプレイヤーを助けるとは思えない…」


龍は今までプレイヤーを殺すことになんの躊躇いも無かった。急に殺さないという手のひら返しをしない人間のようにも感じられた。


そして優梨が感じた龍の、慎士と友結への仲間意識。それがなぜ優梨を殺さなったのか。


「わたしは分かっているの。龍は仲間を大切にしようと思っていること。どんな絶望している子がいても見捨てないこと。昔は違ったんだけど今の龍が龍なんだよ。失礼かもしれないけど優梨…、悲しい顔でもしてたんじゃないかな?」


「わたしが悲しい顔をか…。表情は判別されにくい人間だとは思うがあの戦いの中で見られてしまったのかな」


「龍は人の表情に敏感なんだよ。ほら、龍ってあんな見た目だし今も半不良だし。だからかな?他の人の表情をよく見てしまうのは」


「………………嬉しかった。この日まで仲間を作れず1人で過ごしていた日々。そして両親もいない。誰も助けてくれなかった。でも龍は違った。こんなわたしに手を伸ばしてくれた」


「わたしも慎士もいるよ。仲間なら助け合うのは忘れてはいけないこと。これから先一緒に頑張って行こう?」


優梨は笑顔で頷く。彼女には仲間がいる。救ってくれた仲間が。これから先生き残っていったとしたら最後には戦うことになるだろう。


でも優梨はそんなことは考えなかった。まずは今を過ごす。そんな先の未来のことなどはその場でなんとかする。そんな考えだ。


「ええ。あ、そういえば慎士のことなんだけど彼大丈夫?精神。あれはさすがにヤバいわよ。ちょっと不安ね」


「いや、あの慎士だし策は練っていたんじゃないかな。急にあんなことをするようなやつじゃないし。ほら、異能力使ってたじゃない。」


「ふーん。まあ、頭は良さそうだし有り得るわね。彼も仲間なのだから信じる。…………じゃあ、今日は寝ましょうか。友結……」


「うん、おやすみ。優梨」


2人が眠りにつくのはほぼ同時のことであった。


―――――――――――――――――――

作者より


しばらく茶番多めになります。普通の戦いは5、6話くらい後だと思います。

それでもよければ茶番にも付き合って欲しいです。


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