第13話 意思を固める
「「「ふざけんな!!!!!!」」」
「許してクレメンス。ほら、怪我人は大切にしてくれよ」
慎士がヘラヘラしながらこっちを見ている。なんかムカつくな。そんな中、友結が慎士の前に出てきて、
「これで大丈夫だね?…………もう怪我人じゃない。さあ、働いてもらうからね♡」
友結が自分の異能力により慎士の腕を治す。凄いなあそれ。骨折まで治せるとか安心できる。友結は聖母レベルの笑顔で慎士を見ていた。…………怖いよ。
「あとさぁ、骨が折れてあんなに平然としていられるの?何かした?」
「教えてやろう!龍と友結君がいない間に手に入れたカード[
「異能力を使ってまで働きたくないなんてね…」
「働いたら負けだと思っている(断言)」
慎士が教訓めいた言葉を言う。
お前、それはちょっと世間は許してくれねぇわ。そんな慎士の前に優梨が行く。
「働きなさい(圧を込めて)。働いたらメイド服ぐらい見せてあげるわよ。頑張りなさいよ」
「すいませんでしたぁぁぁぁー!!働きます。一生懸命に!メイド服のために!」
なんとちょろい!メイド服につられるとはそこまで落ちたか慎士!
……………最初の働きなさいという優梨の言葉にもかなり恐怖を感じたが。
「んじゃあ、みんなバイトはするってことでいいんだな。詳しいことは明日あたりにしようぜ?もう今日は疲れたわ」
「賛成ね。同じくかなり疲れたわ」
「わたしも~」
「俺もだ。よし、家を建てるから少し離れてろ」
慎士が[幻想の書]を使い、家を2軒建てる。今度は丁寧に書いていた。悲劇は2度起こさないという教訓だ。
〖〗
家は男子ペアと女子ペアで別れた。女子ペアは先に川で身体を洗ってくるとのこと。
俺達も身体は洗いたいので2人が帰ってくるまでは家で待つことにした。
俺と慎士は今日のことについて話していた。
「ヤバいな、友結。あいつ1日で狙撃をマスターしてやがった。俺も頑張るか…。あと、気になったことがあるんだが慎士はどこでプレイヤーを見ていた?あと、どうやってプレイヤーと判別していた?俺聞いていないんだが」
「俺か?俺は森の崖から見ていた。名古屋・F周辺を見渡すことの出来る場所だ。双眼鏡を具現化して監視していたんだ。プレイヤーの判断は手首だな」
慎士が俺の手首を指さす。そういうことかと俺は納得した。
「プレイヤーはみんな手首に時計を付けているだろう?そこに注目すれば判断は容易い。スコープを使っていてもそこまで見ないんしゃないか?」
「ありがとな。助かったぜ。」
「礼はいい。そんなことよりも優梨君の方が気になったな。どうして連れてきた?」
「言っただろう。戦力になるからだよ。お互い生き残ることが一番大事だろ?」
「………………嘘だな。本当は他に理由があるんだろ?龍がそんな自己的な理由を出すわけがない」
「…………俺が自己中心的なやつでないと思っていないのか。かつての俺ならそんのやつだと思うが」
「少なくとも今のお前は違う。ここまででそれくらいは理解している。仲間を大切にするということもな」
「…………………………………………」
深い沈黙。数秒後に口を開く。
「…………あいつが悲しそうだったからだよ。俺、そういうの見ているの嫌だからさ。昔の俺は悲しませる側。だが今の俺は出来る限り人を悲しませたくない。ここまで助けてくれた慎士と稲見への感謝も込めてな。お前らの願いを無駄にはしたくねぇ」
そういう理由。ただ1人の少女を笑顔にする。そのためにこのゲームの趣旨である殺し合いを放って仲間にした。それだけだ。
俺は慎士の顔を見てみた。こんな俺がらしくないことをしてさ。どうこいつは思っているんだろうか。
「くう~~~、なんてやつだ!感動した!やはりお前はいいやつだ!」
「……そんなことねぇよ………」
コンコン。ドアがノックされた。2人が帰ってきたのだろう。俺は立ち上がった。
「さて、1日で汚れた身体を洗うか。行くぞ慎士」
「ああ、待ってくれ」
俺達は2人で川へと歩いていった。
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