第3話 真実か挑戦かゲーム
「おま……たせ」
「ああ」
心桜は子供っぽい寝巻きに着替えて、リビングに入ってきた。髪を濡らしたままどこかぎこちない笑みを浮かべて佇んでいるのが何故か分からなかった。
僕は立ち上がり、歩を進ませる。それと共に心桜は少したじろいだように一歩下がる。歩幅を縮めて心桜との距離間が1メートルくらいになった時、彼女は強く目を瞑って俯いた。
「え? どうした? のぼせたか?」
「……え」
心桜の脇を通り過ぎ、廊下に出ようとしだ時に彼女の異変に気づいた。
心桜はゆっくりと目を開き、俺と目を合わせた。そして彼女のおでこを触ってみる事にした。触ると彼女は「えっ」と目を見開せながら、またたじろぐ。
やっぱりのぼせたな。顔が真っ赤だ。
「お前、水飲んで早く横になっとけよ」
「……あ、えっと、うん」
「じゃ、風呂入ってくるわ」
相変わらず心桜の家の風呂はでかかった。
風呂から出ると、心桜の容態は大丈夫なようで、ソファにまた姿勢良く座り込んでいた。どこか緊張しているように見える。自分の家なのにどうしたのだろうか。
「こころ?」
「へっ!?」
「あれ? お前びびりだっけ」
名前呼んだだけなのに。
時刻は、もう良い子はとっくに寝ている時間だった。暇を持て余した俺は心桜にとある事を提案する事にした。
「そーいえばさ、心桜。昔よくやってた遊びしない?」
「え……あ、うん。いいけど、どんなのだっけ?」
「トゥルーオアデェア」
「えっ! 懐かしい! 真実が挑戦かってやつでしょ?」
「そうそう」
「確か負けた人が、トゥルーを選んだら勝った人の質問に絶対に答えなくちゃいけなくて、デェアだったら勝った人の命令に絶対に従わなくちゃならないやつ!」
「そうそう。勝ったやつが最強の遊び」
目を輝かせて、無邪気にこの話題に食いついてくる心桜が面白かった。
「それでそれで、勝ち負けはどーやって決めるの?」
「うーん、そうだな。30を言ったら負けゲームは?」
「あ、聞いたことある。どんなのだっけ……」
「お互い1から30まで交互に数字を言い合って、30を言ったら負け。一回につき最大3つの数字を言っていいんだ」
「面白そう! それでいこ?」
先程から心桜はずっと目を輝かせている。そんな姿を見ていると心なしか頬が緩む。
「よし、じゃあ俺からな。1」
「うーん、2.3」
「じゃあ4.5」
「6!」
「7.8.9」
「10.11.12!」
「13──」
「うぅ……さん……じゅう」
「よし、俺の勝ち。じゃあ、えっと」
余裕すぎる。さてと、どんな質問をしようかな。ぐへへ。別に下心なんてないし。
「トゥルーオアデェア。あ、言っとくけどデェア選んだら俺容赦しないから」
「……ぅ。ト、トゥルー」
まんまと脅しに引っかかってくれた。とはいえ本当に挑戦は容赦しないがな。それじゃ、そうだな、考えてなかったが何を聞こう。じゃあ手始めに。
「処女?」
「へぇ!? な、なんて事聞くのっ!? 言わないよ!」
「あー、どーする? 俺優しいから今なら別にデェアに変更させてあげてもいいけど」
俺の言葉に心桜はムッとしながらも、口を結んでプルプルと震わせている。その末に口開かせて、
「…………しょ……じょ」
「なるほど」
「ばっ、馬鹿にしたなぁ!!」
「いやいや」
「もぉー! 覚えててよね!!」
牛の逆襲が来るようだ。俺は次のターンに進んだ。
「次はお前から」
「じゃあ1.2.3!」
「4.5」
「6.7.8──」
「……また、負けた……」
「弱くね?」
「違うしっ、絶好の機会を伺ってるの」
「どんな時だよ」
うーん、次はどんなのにしよう。そうだ、心桜の好きな人は誰か聞いてみよう。
「トゥルーオ──」
「デェア」
予想に反して、めっちゃ即答してきた。しかもデェア? 血迷ったか? 急にどうした。
「もう一度聞くけど、トゥ──」
「デェアっ!!」
「……えっと、それがどーゆー事か分かってる?」
「うん!」
間違えではないらしい。覚悟ができているようだ。容赦しないと言った上でデェアを選んでくるとはMかこいつ。
それにしてもさっきから何コイツ俯いてるんだ? 顔赤いし。
「それじゃ──」
俺は容赦の皆無な挑戦名を告げる。
「……うぅ……変態」
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