第2話 JKのスマホの中身
「それじゃ、わたしお風呂入ってくるね」
「おう」
心桜はスマホをソファに置いて立ち上がると共に、廊下に姿を消して行った。洗面所の扉が閉まるのを確認して俺が咄嗟に触れたもの心桜のスマホだった。
JKのスマホ事情に純粋な好奇心を隠しきれないのだ。とはいえそのいけない事をするドキドキ感は一瞬で絶望に変わった。
「くたばれパスワード」
俺がこの世の中で嫌いなものに順位をつけるとしたらパスワードは55番目に嫌いだろう。ちなみに1位はカップルだ。イチャイチャしてるのを見ると無条件で呪いたくなる。
その4桁のパスワードに、俺は心桜の誕生日を入れる事にした。
──0819……ダメだっ。
流石に心桜を馬鹿にしすぎたようだった。しかしパスワードというのは何か印象にある決まった数字から取っているはずだ。心桜と小さい頃から一緒にいるなら俺ならなにかヒントが掴めるはずだ。
そして俺はある可能性に気づいた。
俺の誕生日だ。これでパスワードを開くことが出来れば二つのことが知れる。JKである心のプライベート事情、そして心が俺の事を特別だと思っているという事。
──0501……まぁ、流石にないわな。
それから俺は色々な誕生日を試した。福沢諭吉の0110や、樋口一葉の0502、そして野口英世1109など。やはりどれもダメだった。ってかどんだけ心桜が金好きだと思ってんだよ俺。
そして俺は最終手段を出す事にした。
──0001、0002、0003。
そう、1から作戦だ。幸いな事に彼女のスマホには防犯機能はなく、何度間違えても大丈夫なやつだった。となれば決まっている。
気が遠くなると思う人がいると思うが、俺はそれでJKのプライベートを覗けるくらいなら厭わない。
そうこうしているうちにその時は来た。開始まだ2分くらいのことだ。
──0119。
「開いたぁぁぁぁああああ!!!」
思わず声を上げてしまった。まさかこんなに余裕だとは、心桜もちょろいちょろい。
俺はそのまままずは『PAIN』というメッセージを開く事にした。驚いた事に、心は人気者なだけあって、通知が俺の100倍くらい来ていた。
その七割くらいが男からだった。すげぇモテるんだな。
そして俺は心の彼氏チェックをする事にした。
『PAIN』には友達登録している人の中で、通知が来たらわかりやすいように、親密な仲の人をお気に入り登録することができるようになっている。
彼氏がいるならきっとそこに入っているだろう。
俺はお気に入りの欄を開いた。心桜は、お気に入りの相手に公式を登録している俺と違って、ちゃんと友達を登録してあった。いいな。
10人くらいいるその中に、ただ1人男を登録しているのを見つけた。
キタコレと思ったが、その相手は俺だった。
なるほど。幼馴染だからか。まぁ確かに心桜が学校で男と親しげに話している所を見たことがないな。幼馴染万歳。
とはいえ彼氏がいないという事はほぼ確定だろう。俺は心桜が彼氏を作ったという話を高一の今まで聞いたことがない。もしかしたら彼女はレズなのかもしれない。それなら興奮する。
あ、やべ、ムラムラしてきた。
俺はそのまま『PAIN』を閉じて、つい最近使用していたものを見る事にした。
それはネット検索だった。け俺は心桜の検索履歴を漁る。そして目を疑った。
『エッチ』
『セックス』
『セックス 痛い』
『セックス ルール』
こいつ、なに調べてんだ? 中学校一年生の俺みたいな検索履歴だな。まぁなんとなくさっきもじもじしてスマホをいじっていた理由が納得できた。
ついでに、俺は心桜が最後に調べていたその──セックス ルールというやつを見る事にした。
ふむふむ、なるほど。
改めて勉強になった。そのサイトの最後には、『パートナーと、いつそのような場面に出会しても大丈夫なように、出来るだけ体を清潔に保ちましょう』と書いてあった。
そうか。結構大変なもんなんだな。ちゃんとやる時はやりますって宣言すれば相手の意思も尊重できるのにな。
そのタイミングで洗面所から心桜が出てきて、俺は慌ててスマホを元の位置に戻した。
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