外伝1 ※本編とは関係ありません
「アンジェリーナってあまり自分自身のことを話さないよな。」
俺はアンジェリーナの座ってる向かいのソファに座りつつ、アンジェリーナに話しかける。
「え、そう?私結構話しているつもりよ。」
アンジェリーナは心外そうな顔をする。
「アンジェリーナがやっている実験のことはよく話すけど、アンジェリーナ自身のことはあまり聞いていないと思うけど。」
アンジェリーナがマグカップの取手に右の中指と薬指を入れ、マグカップを包むように持っつ。
「確かに言われてみればその通りね。チャンに言ったのは私の起こし方と、睡眠時間くらいだと思うわ。気になるの?」
「まぁ、気になるな。アンジェリーナは俺の彼女で婚約者だしな。」
「チャンだったらなんでも言うわよ。何か気になることでもあるの?」
アンジェリーナはよくも悪くも純粋だ。
「うーん、例えば過去の恋愛話とか?」
「そうね、実験には毎日愛を注いでいるけど、恋したのはチャンだけよ。何度か告白されたことはあるけど基本私断っていたわ。実験の邪魔としか思えなかったし、そもそも人を好きになると言う感覚がわからなかったもの。....あ、そういえばガッツとは一回デートしたことがあるわ。」
なんですと?!
「でも形だけで、ガッツも本気のデートではないわ。確か元カノと縁を切りたいから手伝ってくれって言われてしたのよ。
確か...そう、大阪のあの大きなテーマパークに行ったわ。」
ーーーー遠い過去ーーー
「アンジェリーナ、今日はありがとう。とても助かる。」
「別にいいわよ。本当のデートみたいに面倒なことは無さそうだし、私人を好きになったことがないから、研究者としてちょっと興味があったのよ。デートをすると、どのように気持ちが変化するか。」
私は待ち合わせに、ネットで検索したデート時の服装と書かれた記事をそのまま再現した服を着ている。
せっかく恋と呼ばれる人の感情を知る機会なのだ。できれば正確なデータが欲しい。
「アンジェリーナ、ごめんだけど手を繋いでもいい?できるだけ元カノに見せつけてやりたいから。」
私は差し出された手を握る。
なんとなく手が生暖かくなってきた。女性の男性も手を繋ぐことに特別な感情を持つとあったが、正直そんな感情はあまりない。
強いて言うなら、生暖かさが気持ち悪いので、今すく離したい。
手を握ることに熱心になる恋愛小説があるが、人の手を握って何が楽しいのか私は疑問になる。
「最初はどこに行こうか。」
ガッツがそう言うが、こういう時に言う適切な言葉が見つかららない。恋愛小説とwebの情報をかき集めたのだが、遊園地内でどこに行こうかと言われた時の対処法は掲載されていなかった。
私は何をすればわからない。だが場所を聞いているのだから、きっと地図上の場所を示せばいいにだろう。
「そうね、こことかでいいんじゃない。」
私が指差したのは川の近くの辺りだ。そこならば暑い初夏の暑さを紛らわす事ができるだろう。
「アンジェリーナは絶叫系好きなのか?」
ガッツはそう言いながら私を先導する。
絶叫系というのは、よく「きゃー」とか「わー」とか言っているやつだろうか。
先導すると言っても手を引っ張られているだけだ。
そのままガッツは何かの施設の入り口向かって私の手を引く。
「今は空いているみたいだ。さすが平日だな。混んでいる時はここは人がいっぱいいるのだけど。」
これだけの場所が埋まるほど人が来るのか。
なんとも暇な人がいるものだ。
あ、私もか。
私は何かのボートに乗せられる。
どうやらエンジン駆動ではないらしい。
ベルがなりボードが一人でに動き出す。
謎の音楽と共に、昔絶滅した恐竜を精密に模した恐竜の模型がたくさん動いている。
一生懸命にガッツが何かを言っているのだが、正直どうでも良すぎて私は何も聞いていなかった。
それよりも私は明らかに作り物のこの恐竜の模型がどのような解析の元作られたのか、そういうほうかきになった。
「アンジェリーナ、ガッツさん本当に元カノいたの?」
俺は少し気になってきてみた。
「ええ、いたみたいよ。後で写真を見せられたから。」
「そうか。」
なんとなく、ガッツさんがただ単にデートの言い訳でそう言ったのかと思ったが、違ったようだ。
初デートが俺ではないというのが少し気にくわないが、それは仕方がないにだろうな。
川に流れに沿って草食恐竜についての展示があり、そのまま私のボートが勝手に進み、暗めの部屋に入る。
どうやらここらは肉食系の恐竜を展示しているみたいだ。
この船のシステムはいいな。じっくりはみられないけど、船に乗っているので、作品を動く事なく見る事ができる。
そう思っていたら、急に目の前に迫力のある大型肉食恐竜が立ち塞がる。
どうやら機械の暴走しているようで、私達をボートごと齧る気みたいだ。
流石に機械に齧られて終わる人生は嫌だ。
今人生で一番血の気がひいている瞬間だろう。何も考えられない。
するとボートがいきなり角度が変わり、大型肉食恐竜の足元を落ちていく。
私は思わず悲鳴を上げてしまった。
そして大量の水がクッションになりボートのスピードが落ちる。
どうやら状況的にあれは機会の暴走ではなく、仕掛けられた事らしい。
こんないたずらを仕掛けた人に私が腹が立った。
そして涙が自然と溢れる。
「私帰るわ。」
あまりの恐怖に私は足が震えていた。
絶叫系とはよく言ったものだ。本当に絶望の中叫んでしまった。
こんな乗り物に乗って恐怖を楽しむ事自体私にとって理解できない。
「アンジェリーナ、悪い。いきなり絶叫系迷わず刺したから、意外と慣れているにだと思ったんだよ。」
こんなの慣れてたまるか!!
私はそう思った。
ーーーーーーー
「アンジェリーナって絶叫アトラクション苦手なのか。」
「そうね。多分今でもあの恐怖は忘れられないわ。
体が宙に浮かんで投げらされたような感覚。
チャンが一緒に横に居てくれるなら乗るけど、正直2度と乗りたくないわね。」
アンジェリーナ、本当に怖かったらしい。
「それでそのあとどうしたんだ?」
「もちろん帰ったわよ。服が水浸しになったのもあるけど、単純にその場所に一時も早く離れたかったのよ。」
ガッツさんさぞかし慌てただろうな。
偽のデートだとはいえ、いきなり自分で選んだ絶叫系に乗って涙を浮かべて帰ってしまったのだから。
「それでガッツさんは元カノとどうなの?」
「しっかりと確認したわけではないけど、私が帰ったあとガッツさんに会ったみたいで、ちゃんと別れる事が出来たらしいわ。」
それはよかった。
「今から思うと全く無意味なデートだったわ。実験のデータにもならないし。
ただ私が絶叫系が苦手という事はわかったけれど。」
俺は今度、アンジェリーナをテーマパークに連れて行こうと思った。
是非あのアンジェリーナが叫ぶ姿を見てみたい(ドS)
外伝1 終わり
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