第21話 敵か的か


 プレイヤーネームがマヨイなのに配信者の名前がいつまでもアイ&ショウというのも変なので、アイに確認を取ってからアイ&マヨイにアカウント名を変更した。


「こんにちは! アイ&ショウ改めアイ&マヨイのマヨイです。よろしくお願いします」


【うぽつ】

【うぽつ】

【うぽつ】

【さっき振り】

【そこどこ?】

【何てゲーム?】


「ここは話題沸騰中の"Continued in Legend"というゲームの中です。場所はソプラの街という場所から北に2キロほど進んだところにいますよ」


【西の森は?】

【西の森の配信観たかった】

【ソプラの街を観たかった】

【あれ、アイちゃんおらんのぅ】


「実は午前中の配信で僕のレベルが現在のカンストに届いちゃったんですよ。それだとアイたちに経験値が入らないので今は別行動中です。西の森の攻略配信は……また余裕ができた時に撮りますね」


【もうカンスト!?】

【カンストっていくつ?】

【早いってww】

【経験値ドーピングしてる?】

【 経験値ドーピングしてる廃人様は19くらい】

【経験値ドーピングしてるけど20の壁が高い】


「レベルのカンストは30。僕は経験値ドーピングしてないよ。エリアボスを討伐しないとレベル20には上がらないかもってアイが言ってた気がする」


【そういえば目的地はどこ?】

【目の前の山?】

【ステータス晒して】

【ソプラの街の救援依頼に行きたいけど西の森がテラきつい】

【廃人様方は猪諦めてアルテラの北のエリアボスに挑戦してるぞ。まだ誰も勝ててないけど笑】


「目的地は目の前の山ですよ。ワイバーンが棲んでいるらしいので狩りに行くところです。ステータスは……うん、知力が5000超えたとだけ」


 さすがに本当のステータスは言えない。

 アルテラの北のエリアボスにも興味はあるけど今はワイバーンが優先だ。


「西の森は僕ら以外だとKING'Sの人たちが本腰入れて攻略始めましたね」


【プロゲーマーがMMOやる時代か】

【CiLは賞金出るタイプのPvP大会が予告されてるぞ】

【一瞬で納得したわ】

【マヨイはKING'Sと仲良いの?】


「午前中にPvPした……迷惑イキリ配信者に対する印象は最悪だけど、リーダーのワカm……ノウアングラウスさんとはフレンドになったよ」


 名前が思い出せなかったのでメニューを開いてフレンドリストを確認した。

 面と向かっている時は名前が出てくるのに居ないと忘れるのどうにかしたい。


【名前思い出してあげてww】

【今絶対にワカメ頭って言おうとしたろ】

【フレンドリスト確認したのバレバレだから】

【あとボコったのはミライな】


「アイダじゃなかった?」


【アイダって誰だよww】

【原型留めてないぞ】

【アイ:それは本名[500円]】

【アイちゃん!?】

【自分の配信にスパチャ投げる配信者w】

【というか本名てw】


「アイ、それは言っちゃダメなやつ!」


 思い出した。

 本名が英田未來、プレイヤーネームがミライだ。

 クラスメイトの名前ですらスラスラ出てこないの本当にヤバいね。


「では気を取り直して進みましょう」


【無かったことにしたな】

【全力でスルーしてる】

【そろそろ麓に着くね】

【アイちゃん、今何してるの?】

【アイ:新人教育してるよ】


 北の山の麓に差し掛かるとドーベルマンのような姿をしたモンスターが飛び出してきた。


「魔力弾!……あ」


 あまりにも突然のことで魔力弾の威力を調整し損ねてしまった。その魔力弾によってドーベルマンモドキは蒸発、貫通した魔力弾が着弾した木は穿うがたれて大きな音と共に倒壊した。


【ツッコミ担当!ツッコミ担当どこ!?】

【犬なんていなかった】

【なんだ白昼夢か】

【なんだったの今の!?】


「どうやらソプラの北の山も、アルテラの西の森と同じようにインスタンスになってるみたいだね」


 思考発動させた広域探索によると周囲を囲むように敵性反応がある。さっきのドーベルマンモドキと同じモンスターだろう。


【違う、そうじゃない】

【ということはボスがいる?】

【ボスがワイバーン?】

【今の敵なんだったの?】

【魔力弾あんなんだった?】


「今のは魔力弾だよ。再使用時間の短縮と知力の上がりすぎで完全に別物だけどね。あとてきに囲まれちゃったから少し待ってね」


【敵さん逃げて!超逃げて!】

【魔力弾は壊れスキルだった?】

【属性魔術より派手まであるぞ】

【再使用時間の短縮なんてできるのか】


「(攻撃威力調整)魔力弾×47」


【かける!?】

【環境破壊しすぎぃ】

【午前中の決闘で同時に撃ってたのこれか】

【魔術の民、いつかこれを求められるぞ】

【できる気がしない】


「試したらできちゃったんだよね。あと今は配信中だから分かりやすく発音してるけど、声に出さなくてもスキルを使えるようになるスキルも覚えてるよ」


【リスナーに配慮してたw】

【そんなスキルあるのか】

【PvPの定番だよな】


◼︎Danger:The Mountain Dog Reader

 ソプラ山の麓に生息する山犬たちのリーダー

 優れた統率力と鋭い牙で敵を蹂躙する。

 挑戦しますか? YES/NO

 ※NOを選択した場合、入り口に戻されます。


「お、これ見てよ。エリアボス戦っぽい」


【エリアボス!?】

【早すぎww】

【そこまで奥に進んでないよな?】

【ワイ、数えてた。今倒した犬で50匹目】


「という事は倒した敵の数でボスが出てくるのかな」


 周回が捗りそうな情報だね。

 ボスの強さが元になったモンスターと比例するのなら、このボスの強さはフォレストビックボアより格上だろう。

 若干の期待感に胸を膨らませて僕はYESを選択した。



───────────────

昨日、初めて誤字報告をいただきました。

ありがとうございます。


プロット(下書きのようなもの)の消滅(USBが車の下敷き)によりアドリブで書いている本作ですが、あらすじとのズレが深刻なレベルになってしまいましたので修正しました。今後も予告なく修正するかと思います。申し訳ありません。

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