第11話 日本語って難しい

近況ノートにも書きましたがプロットが消滅しました。

ここから先はアドリブです泣

頑張って完結まで書くので更新遅くなっても許してください。

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 結論から言えば藍香は簡単に見つけられた。

 目印扱いされていた狼の姿は見当たらないが、藍香そっくりの赤髪のプレイヤーが、見覚えのある男性プレイヤーからナンパされていたからだ。


「待った?」

「遅いわよ!」

「なんだテメェ、邪魔するな!」


 もしかして僕のことを覚えてないのだろうか。

 逆恨みされてると思っていたのは杞憂だった?

 とりあえず藍香にフレンド申請を送ろう。


「承認したわよ」

「ありがとう、外野が煩いし行こうか」


 騒がしい男性プレイヤーを無視して移動しようとした時だった。


「決闘だ!決闘しろ!」


 正直、時間の無駄だと思う。

 それに受けるメリットがない。


「いいじゃない。受けてあげれば?」

「時間の無駄だし、受けるメリットないよ?」

「メリットならあるわよ?」


 意外にも藍香が決闘を肯定した。

 これに気をよくしたらしく、


「俺にもメリットがないといけねぇよなぁ」


 などと言い始めた。


「そうね、だから契約しましょう」

「契約だぁ?」


 このタイミングで僕は藍香の企みに気がついた。

 やっぱり怒ってらっしゃる。


「そう。貴方と私の彼で決闘して敗者は勝者の望みを可能な限り遵守するの」

「いいねぇ、いいじゃねぇか」


 この男、思った以上に頭が弱いのか、

 この内容はものすごくエグいことに気がついてない。

 それと僕と藍香は付き合ってない。


「──契約書作成。サインしてくれないかしら? 契約書に触れるて承認と宣言するだけでも大丈夫よ」



◼︎契約内容

対象①:チャラ王

対象②:マヨイ

内容①:対象①と対象②の間で決闘を行う。

内容②:敗者は勝者の要望を可能な限り遵守する。



「僕は承認するよ」

「俺も承認するぜ」


 しかし、この契約はおかしい。

 キャラクター作成時に習得できる"契約"の効果は今回のような使い方はできなかったはずだ。

 あとで本人に確認しよう。


[チャラ王さんから決闘の申請が届いています]


 そういえば初めてのPvPだ。

 PvPとはプレイヤー同士の対戦のことだ。

 申請を承認すると30秒のカウントダウンが始まった。


「へぇ……専用フィールドに移動するわけじゃないのか」

「そんな事もしらねぇで受けたのかよ」


 しかも、カウントダウン中であっても移動できる。

 これは接近戦が得意なプレイヤーが圧倒的に有利ではなかろうか。

 チャラ王と僕との距離は2mほどだ。

 開始と同時に攻撃するつもりなのだろう。


「へぇ、逃げねぇのか」


 野次馬が集まって来た。

 カウントダウンは残り3秒を切った。


「魔力……弾」

「しn……」


 チャラ王が攻撃を仕掛けた瞬間、

 彼の頭は吹き飛んでいた。

 血が吹き出したりはしないらしい。


[チャラ王との決闘に勝利しました]

[契約が有効になりました]


 頭のなくなった体が後ろに倒れる。

 野次馬の誰かが悲鳴をあげた。


「なんだよ今の!チートだろ!」

「契約は守ってもらうよ」

「ふざけんな! そんなの無効だ!」


 理解できないこと、理不尽だと感じたこと、それらをチートと騒ぎ立てる人はどんなゲームにも少なからずいる。

 僕はそんな他人の努力や成果を妬むだけのゲーマーが大嫌いだ。


「これまでに獲得した全ての素質と経験値、習得している全てのスキル、手に入れた全ての装備とアイテムと通貨を"灰神"に貢いで」


[契約を履行しました]


 そんな大嫌いな奴の努力や成果を尊重してやるほど僕は聖人君子ではない。


「キャラクター削除と決闘申請の禁止」


「おい! おい!」


[契約を履行しました]


 要望の上限数を確認しなかった君が悪い。


「あと名前を負犬王に改名してくれ」

「テメッ」

「もちろん、今後は改名禁止だ」


 僕に嫌われた君が悪いんだ。


[契約を履行しました]


「お誕生日おめでとう。負犬王さん?」

「うあああああああああああ!!!!!」

「産声のロールプレイか、なかなか上手いじゃないか」



…………………………………



……………………………



…………………




[称号:決闘初心者を獲得しました]

[素質:決闘者を獲得しました]


 "決闘者"と書いてデュエリストとは読まない。

 これで僕が獲得した素質は4つ目になる。

 "決闘者"を有効にするためには"狩人""魔術士""使徒"のいずれかを外さなくてはならない。

 "決闘者"を設定することで習得可能になるスキルには興味があるものの、現在のプレイスタイルを崩すのは嫌なので今回は設定を見送ることにした。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 僕と藍香は北の草原を目指して移動を開始した。

 野次馬にいた何人かが跡を付けてきているが無視だ。


「真宵、ちょっとやりすぎよ?」

「そうかもね。で?」


 藍香の狙いは2つあった。

 1つ目は負犬王の撃退。

 もう1つは僕の実力の確認だ。


「うっ……ごめんなさい」

「まったく、次からは相談してよね」


 僕には他人にステータスを晒す趣味はない。

 今回は思考発動の魔力弾を使わずに済んだ。

 しかし、次はどうなるか分からない。

 もし相手が多勢に無勢だったら?

 もし相手が僕よりも強い相手だったら?

 きっと使わされていただろう。


「というか僕が負けてたらどうしてたのさ」

「別に? 真宵が負けるとは思わなかったし」


 あの契約内容で不利益を被るのは決闘の敗者だけだ。

 藍香には何の拘束力もない。


「あと狼は?」

「すっごく目立っちゃってたから送還したのよ」

「そうかん?」


 僕も人のこととやかく言えないけれど、

 この幼馴染も色々と隠しているようだ。

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