第30話「残念」

「よぉ〜し!!全員集合ぉ〜!!」


キャプテンの声が体育館に響き渡る。


三年生の後ろに二年生が並び、僕達一年の正面に立った。


「まぁ〜既に知った顔のヤツもいるが、とりあえず全員自己紹介な。」


キャプテンはそう言うと僕達一年を見渡した。


「じゃ〜まずはお前から」


と言い背の一番高い相沢君を指名した。


「うすっ!!自分は相沢悠斗。身長195cm、体重90k、ポジションは全部です。」


(おぉ〜あいつが相沢か!!何か相当ヤバいらしいな。)


相沢君は続けて、


「好きな女性のタイプは広末涼子です!!」


(好きなタイプ?しかも広末涼子って・・・)


次の瞬間、


「俺も広末涼子大好きっす!!」


と、けんちゃんが叫んだ。


「まじか??俺も広末涼子好きなんだけど!」


(まさかタケル君まで続くとは・・・)


キャプテンは少し笑いながらも


「分かった分かった。じゃ〜次はお前な」


そう言い、僕を指さした。


「はっ、はい!!大泉幸太郎!!16歳!!高校1年です!!趣味は読書です。」


そして、


「あははははぁ〜!!」


館内大爆笑。


「知ってる知ってる!!。お前は高校1年な!!」


「しかも趣味が読書って。ここはバスケの名門、城西だぞ!」


しばらく館内の笑い声はおさまらなかったが、


「で??お前の愛読書はなんだ??」


とキャプテンが涙目で聞いてきた。


それに対し僕は、


「安西先生、バスケがしたいです。」


と答えた。


次の瞬間、館内は


しぃ〜ん・・・とした


「マジか?」


と、誰かが言った。


そして、


「世界が終わるまではぁ〜離れるぅう事はなぁ〜ぃ」


突如けんちゃんが歌い出した。


更に、


「そぉおねがあっていたぁ〜いくせぇんの夜を」


と、タケル君が続いた。


何と、そこから体育館にはバスケ部全員の歌声が響いた。


しかし、


「コラァ〜何を騒いどるかぁ〜!!」


「やべっ!!」


(あっ!!小笠原監督だ!!)


「すっ、すみません!1年が緊張している様だったので少し場を和ませました。」


「まぁ〜良いだろぉ〜。とりあえず1年の力がみたい。1年対上級生で試合をするぞ。30分間各々アップを済ませたらコートに集合だ。」


「はいっ!!」


(最近の若い者にしちゃ〜WANDSとは気が利いてるじゃねぇ〜か。うるせぇ〜けど)


「じゃ〜ちょっと行ってくるね!」


「またいつものか?30分後に集合だから遅れんなよ!」


僕は体育館を出てロードワークに出た。先輩に教わった5kの道のりを走る。


1kmくらい走ったところから、


「ピッ!」


100mダッシュ


10秒のインターバル(ジョギング)を入れ、


「ピッ!」


再度100mダッシュ


ダッシュとインターバルの繰り返しで5kmを走る


これが今僕が取り入れているトレーニングの一つ。


これに慣れてきたら100mを200m、300mと伸ばすよう美和先輩に言われていた。


美和先輩が言うには、


「残念ながらコータロー君は技術的にまだ高校の全国で戦うには厳しいから、フィジカルで優位に立てる様な体作りをやろうね!ただし普段はなるべくボールに触れててね」


(やっぱり美和先輩は可愛いし、アドバイスも的確だよなぁ〜)


僕がそんな事を考えながら5kmを走り終えると校門の所に、香織さんが立っていた。


(何か嫌な予感・・・)











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