第29話「デカっ!」

新しい季節、僕は校門をくぐった


「おぉ〜っす!。」


「あっ!!タケル君おはよう。」


「コータロー!おはよぉ〜!。」


「けんちゃんもおはよぉ〜。」


気付けば僕達3人はタケル君のお父さんの推薦で同じ高校に進む事になった。


3人は入学前からバスケ部の練習に参加をしていたが、今日が本ちゃんの入学式である。


運動の推薦組は1A、1Bであとは一般受験組でC〜Gまでの合計7クラスだった。並び順は俗に言う「あいうえお順」。こうなると苗字が「お」から始まる僕は必然的に前の方になる。


(はぁ〜。入学式早々こんなに前で目立つのやだなぁ。)


しかしこの日は違った。


「デカっ!!。」


僕は思わず口に出してしまった。


僕らのクラス、一番前には僕なんかよりも遥かに大きな人が立っていた。後で知った事だけど彼の名前は、


「相沢 悠斗」 身長195cm バスケ部特待生


あの大きさで一番前に立たなければいけない彼をとても不憫に思った


入学式は滞りなく行われ、


(ぼちぼち終わるかな?)


「それでは入学式を終わります。新入生の皆さんは教室にお戻り下さい。」


僕は1Aの教室に戻った。けんちゃんとタケル君は1Bで別のクラス。


(ひゃぁ〜また一からやり直しだ。初めて会う人しかいないから何か緊張する。)


僕がソワソワしていると、


「あのぉ〜・・・。大泉君だよね?。」


僕がまだ決まっていない席に座っていると

突然、目の前に女の子が現れた。


ポニーテールが良く似合う可愛らしい子というのが第一印象だった。


「う、うん。」


急に話しかけられたから何の味気もない反応をしてしまった。


「私は、岩井香織!!。同じバスケ部だから宜しくね!!。」


(おぉ〜!急に自己紹介されちゃったよ。こう言う時は)


「僕は大泉幸太郎。同じバスケ部です。宜しくお願いします・・・。」


次の瞬間、


「あははぁ〜。」


秋山さんが大きな声で笑い始めた


(な、な、なんだ?急に笑い出したぞ。何か変なこと言ったかな?)


「ごめんごめん!何かイメージ通りで嬉しいやら可笑いらしいやらでついつい笑っちゃった。」


(イメージ通り??って事は僕の事を知ってるのかぁ〜。どこかで会ったっけ?)


僕が考え込んでいると、


「私、岩井香織は大泉幸太郎君の彼女に立候補するから宜しくね!!。」


(そうかそうか・・・僕の彼女になりたいと言う事は、それなりの知り合いって事だよなぁ〜?う〜む・・・ん??えっ??へっ??)


「えぇっっ〜!!!」


僕はビックリし過ぎて思わず大声で叫んだ。


そこへタイミングが良いのか悪いのか、


「おぉ〜っ!。入学式早々告られてる奴がいるぜ。」


「あははぁ〜。さすがは有名人」


と言いながら、けんちゃんとタケル君が岩井さんの後ろから顔を出した。


「あら、お二人さんも元気そうね」


岩井さんはそう言いながら2人の方へ顔を向けた。


次の瞬間、


「かおねぇ〜!!」


と、タケル君が真っ青な顔でいった。


(どうやらタケル君の知り合いみたいだ。でも僕は会った記憶ないなぁ〜)


タケル君の知り合いと思われる女性にいきなり告られたこの日から僕の高校バスケが正式にスタートした。





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