第6話「無理やりごめん。」
その日の夜、僕は少し考え事をしていた。
(なんだかんだ言っても今日は楽しかったなぁ〜。あんなに体を動かしたのは初めてだったしたし。)
ベッドでゴロゴロしながらそんな事を考えていると、
ウィ〜ン、ウィ〜ンと携帯がなった。
携帯を開くと里美先輩からだった!。
一瞬見るのをためらったが、LINEを開いた。
「今日は来てくれてありがとうね!今度の日曜日も、うちにみんな集まるからまたおいでよ^_^。」
なんとも不思議な内容だった。あんなに情けない姿を見せてしまったのに、その事には全く触れていなかった。
僕は中々LINEを返す気にならず、そのまま既読スルーをしてしまった。
(とりあえずマンガでも読んで気を紛らわすか。)
今日は、山田太一の奇跡を手に取った。このマンガは本当に冴えない兄がどんなにバカにされても大好きな野球を超わがままに頑張って凄い選手になってしまう物語。
「あははははぁ〜。」
なんとも言えない内容に何度読んでも笑ってしまう。でも要所要所では必ず真面目な場面があり、どんどん入り込んでしまう。
「しかしいつ読んでもすげぇ〜内容だなぁ〜。」
「それぞれの特性かぁ〜。」
絵と内容とは別に、何気に奥が深いマンガだ。
最後の巻まで読み切り、お得意の妄想に入る。
(あれ?。何かこの主人公だと妄想しにくいかも。元々天才キャラでもないし。なんと言うか、どちらかと言うとこちら側のキャラだよなー)
「今日はやめとくか。」
その時、また携帯がなった。
今度は美和先輩からだった。
「急にごめんね!。お姉ちゃんからLINE教えてもらっちゃった。」
(そう言えば美和先輩とはLINE交換してなかったな。)
「お姉ちゃん、コータロー君からLINEが返って来ない〜って暴れてたよ笑。」
(すみません。なんだかLINEする気分じゃなくて。)
しばらく携帯を放置していると、
ウィーン、ウィーン。また携帯がなった。
「今日パパから渡された紙はみてくれたかな?。色々書いてあるから見てみてね。」
(そう言えば最後に封筒を渡されたなぁ〜。すっかり忘れてた。)
バッグから封筒を取り出し中身を確認した。
中には何枚か紙が入っていた。
1枚目には何やら数字が書いてあった。
・身長180cm
・体重 58kg
・ウエスト
などなど
(いつこんなのしらべたんだろー?。)
下の方には、
・柔軟性・持久力あり
・瞬発力は劣る。
・走るフォームがキレイ
・一定のリズムで走り続けたときの心拍数の変化少ない。
・気弱
・マンガオタク
などなど
(何か色々分析されちゃってるな・・・。でも柔軟性と持久力はあるのかぁ〜。)
僕はしばらく封筒の中身に見入っていた。
2枚目には色々なアドバイスが書かれていた。
1・・・トレーニング方法
・インターバル走
100メートルダッシュ
インターバル5分
×5本
毎日1本ずつ増やして5日間継続
・200メートル走
インターバル5分
×5本
その後毎日1本ずつ増やしていく。
このやり方で300mまでやる。
綺麗なフォームに乱れない心拍数。良い素材を見つけた。
そう書かれていた。
(これが今の僕にあったトレーニング方法なのかぁ〜。)
その他にも
・筋力トレーニング方法
腕立て伏せ×10回
腹筋×10回
脇筋×10回
背筋×10回
×3セット
その後毎日1回ずつ増やしていく
などなど
(これを毎日やるのかぁ〜。きつそうだなぁ〜。)
3枚目には美和先輩からの手紙が入っていた。
〜コータロー君へ
今日はお姉ちゃんが無理やり誘ってごめんなさい。私がコータロー君の話をしたら妙に浮かれちゃって・・・。
でも一緒にマックでお話し出来てとても嬉しかった。
コータロー君はバスケ好き?
私は大好き!
良かったら今度一緒にスラムダンク読まない?
私は毎日部活と自宅でバスケしてるから、気が向いたらで良いから今度私の練習に付き合ってね♡
美和より〜
(美和先輩からの手紙かぁ〜。字も可愛なぁ〜。)
そして3枚目・・・
〜ぱぱより
娘はや!ら!ん!
以上!!
(うへぇ〜!。意味わかんないけど何か怒ってる!。)
全部読み終わり、僕は少し考えていた。
(そう言えば、まともに運動をやった事がない僕は、あ〜なるのは当たり前だよな。)
僕は少し恥ずかしい気持ちになった。
(少しは努力してみるか。どれだけ続くかわからないけど・・・。)
次の日の朝から僕はジムでもらったトレーニングメニューをやってみようと決意した。
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