第4話「今日、うちに来ない?。」
次の日の朝、
「行ってきまぁ〜す。」
僕はいつもの様に家を出て学校に向かった。
しばらく行くと後ろから、
「おっはー。」
と、声を掛けられた。
僕はとっさに振り返って後ろを確認したが、
そこには見たことのない綺麗な人がいた。
思わず
「おはよぉ〜。」
と返してしまったが、
(誰だろー?。こんな知り合いいたっけ?。)
と言うのが僕の正直な反応だった。
「あのぉ〜。」
僕が出した声に、
「あぁ〜ごめんごめん!。コータロー君と直接話すのは初めてだったよね?。」
(僕の名前を知ってるのかぁ〜?いったい誰なんだ?。)
僕が少し困った顔をしていると、
「コータロー君、昨日池内君と3on3やってたでしょ?あの時、私もいたんだよね!。」
なる程。少し合点がいった。
「でも何で名前まで知ってるんですか?。」
僕の素朴な問いに対して
「まぁ〜そうだよね。」
「実は・・・私・・・。」
(な、な、なんだ?何を言おうとしてるんだ?)
「君に一目惚れしちゃって!!。」
(ぬぅあぁにぃ〜!)
僕は完全にテンパった。そこから頭は真っ白・・・
「ぼ、ぼ、僕にですか?。いやいや僕なんてただのマンガオタクで特に何も持ち合わせていないので、あなたの様なお美しい方とは釣り合わないですし・・・ゴニョゴニョ・・・モゾモゾ・・・。」プシュー
途中から言葉ではなくなっていた。
「あれ?。何か勘違いさせちゃったかな?。」
(ん?あ?へ?。)
次の瞬間、
「そっ、そうですよね!僕の勘違いですよね。」
そう返した僕に対して、
「まぁ〜まるっきり勘違いというわけでもないんだけど。」
そう言いながら女の人はニコッと笑った。
「ごめんごめん!まずは自己紹介しなきゃだよね。」
(あれ?この展開には覚えがあるぞ。)
「私は加藤里美。同じ中学の3年よ。」
(三年生かぁ〜。どうりで大人っぽいと思った。)
「で、男バスのマネージャーをやってるの。」
(あぁ〜なる程。そう言う事か。)
僕はとっさに理解した。
けんちゃんは男バスに入って、先輩達とも仲良くなって、体育館で3on3をやった相手はバスケ部の人で・・・ふむふむ
僕は勝手に納得した。
「もう少し言うと、うちの実家はスポーツジムをやってて私はインストラクターやトレーナーをやってるのよ。」
(へぇ〜。実家がスポーツジムかぁ〜。体引き締まってるもんな!。)
「スポーツマンなんですね!。」
「あっ!女性だからスポーツウーマンか?」
僕は冗談気にそう言った。
次の瞬間、
「今日の放課後、うちに来ない?。」
急過ぎる直球なお誘いが来た。
「きっとみんな喜ぶから。」
(みんなが喜ぶのかぁ〜。じゃ〜行ってみようかな。って、みんなって誰だ?。)
僕は考えたままを彼女に告げた。
「皆さんに喜んで頂けるなら是非伺わせていただきます。」
良くわからないが、背筋を伸ばし敬礼の様なポーズで僕は言った。
次ぎの瞬間
「あははははぁ〜。何それ〜。超うけるんだけど。」
彼女は必要以上に大爆笑した。
「まぁまぁ、良いわ。それじゃ〜LINE教えるから学校終わったら連絡して。」
僕がおもむろにポケットからスマホを取り出しFace IDでロックを解除した瞬間、彼女が僕のスマホを覗き込んだ。
そして追い討ちをかけるように笑出し、僕の肩を叩きながら、
「そっかそっか!良いよ君!バスケ好きなんだね。」
と言った。
何か勘違いされた様だったが、とりあえずLINEを交換した。
「それじゃ〜また後でね!。」
彼女はそう言うと近くにいた男子と学校へ歩いて行った。
僕は独りで歩きながら、ちょっとそわそわしていた。
(女の子の家に誘われちゃったよ!どぉ〜しよぉ〜。)
学校でもなんか落ち着かなかった。
そんな僕の様子をみて、けんちゃんがいつもの様に話しかけてきた
「なんだよコータロー!朝からニヤニヤしっぱなしじゃねーか!。」
僕は慌てて、
「そっ、そんな事ないよ!。」
と返した。
「まぁ〜楽しそうな事するなら俺も誘えよな!唯一無二の親友だろ!。」
(そうだよな!バスケ部の先輩じゃ〜けんちゃんにも関係ある事だし一応伝えておいた方が良いよな。)
「あっあのさぁ〜今朝、男バスのマネージャーさんに声を掛けられて、今日の放課後家に誘われたんだよ。」
次の瞬間、けんちゃんの表情が一気にこわばり、
「そっ、そっか!まぁ〜楽しくやれよ!。」
と言い、急ぎ早にその場から去って行ってしまった・・・。
(けんちゃん急にどうしたんだろ〜?。僕、何か変な事言ったのかなぁ〜。)
けんちゃんの変な態度を僕は不思議に思ったが授業の鐘がなったので席に着いた。
その日の放課後。
僕は大変な目に合う事になるのだが、そこから少しずつ見える世界が変わり始めた。
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