第7話 国衆に振り回され……
1521年今川家臣福島正成が富士川を伝い甲斐に乱入。
家臣「大井衆より『信虎めが甲斐南部情勢に忙殺されている今こそ伴野氏との決する好機。』との報せが届きました。」
村上義清「よし。佐久へ出兵するぞ!!」
同年中に武田信虎は福島勢を打ち破り、翌1522年正月に今川と和睦。父・信縄時代の外交路線である関東管領家両上杉氏との関係を強化。両者を結ぶ動線にあたったのが佐久地方。
家臣「……大井衆が(伴野と関係の深い)信虎の侵攻を恐れ矛を収めてしまいました。」
村上義清「進出する理由を失ってしまっては仕方がない……。」
1524年両上杉氏と改めて同盟を結び、彼らと対立する北条を討つべく関東に進出。
村上義清「信虎は居らぬが大井衆は如何している?」
家臣「彼ら(大井)と敵対している信虎と同盟を結んでいる山内上杉と連携することにより、同じく(大井と)対立し、かつ信虎の支援を受けている伴野に対抗。信虎と上杉の関係により小康状態を保っている様子……。」
村上義清「奇妙な均衡関係だな……。して我らを求める声は……。」
家臣「残念ながら御座いませぬ。」
村上義清「……そうか……。」
1525年武田信虎が甲斐に帰国すると北条と和睦。
家臣「どうやら山内上杉に家督争いが……。」
村上義清「大井衆は如何している?」
家臣「武田が甲斐の東(北条)と南(今川)と和睦。更には山内上杉が内輪揉めにより外に手が回らない。と言うことは信虎が次に狙って来るのは……。と静かにしている模様。」
村上義清「信虎と山内上杉の関係が破綻しているわけでは無いわけだから。」
家臣「余計な火種を持ち込むような真似はしないで欲しいのでありましょう。」
同年北条より信虎に対し『上野に侵攻をするので武田領内を通してほしい』との打診が届く。
村上義清「甲斐から上野に抜けるルートは韮崎からしかない。」
家臣「しかも北条領である相模伊豆から韮崎から甲斐に入り、韮崎に抜けると言うことは武田の拠点甲府を北条の大軍が通過することになります。」
村上義清「……で。そこから上野に抜けるとなると……。」
家臣「佐久を通過することになります。」
村上義清「信虎は認めるのかな?」
信虎、山内上杉との同盟を理由に北条の要請を拒絶。和睦は破綻。
村上義清「北条が信虎を試したとも言えるか……。」
信虎と北条との戦いが再び激化する中
家臣「大井衆より『今がチャンス』との打診が……。」
村上義清「……山内に言えよ……。」
家臣「……信虎は諏訪からも亡命者を受け入れ、諏訪への進出も画策している様子。諏訪と佐久が武田のものになってしまいますと……。」
村上義清「次は我が領地となる。と言う事か……。」
家臣「緩衝地帯を確保するうえでも。」
村上義清「大井との繋がりは絶たないほうが良いか……。」
村上義清の支援を受けた大井氏は同じ佐久の有力国人であり伴野氏の排除に成功。佐久は実質村上の旗下に収まったのでありましたが……。
村上義清「伴野が信虎を頼ったのか……。」
伴野氏が亡命したのは甲斐の国。伴野氏再興と言う大義名分を得た武田信虎は自ら兵を率い佐久地方に侵入。その結果。
家臣「大井の衆が信虎と和睦したとの連絡が入りました。」
村上義清「実際は……。」
家臣「……傘下に収まってしまいました……。」
村上義清「我らは大井の権益を守るために良い様に使われるだけ使われた。と言う事か……。」
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