第8話 佐久郡落ち着かず
国人・大井氏に振り回され佐久郡の権益を失った村上義清。
家臣「人質を取ることが出来れば良かったのでありますが。」
村上義清「言うても大井は守護代の家。立場的にこちらが上とは言い難い。たとえ人質を取ったところで裏切る時は裏切るからな……。」
当時は肉親よりも家が大事。
家臣「とりあえず武田と新たに境を為すことになった小県郡は山内上杉も絡むエリアでありますので、そこを武田との緩衝地帯にしながら善光寺平の地盤を固めることにしましょう。」
……と佐久郡が武田信虎のもと落ち着きを取り戻した。のも束の間。
1528年武田信虎。諏訪頼満に敗れる。
1530年武田信虎が山内上杉の前管領の後室を側室に迎える。
1531年正月。上杉との縁組に反発した信虎の家臣の一部が甲府を退去。この動きに合わせ諏訪頼満が甲斐北西部韮崎に侵攻。更に西部の国人領主も呼応。信濃の入り口韮崎が諏訪に抑えられたとなると……。
家臣「大井の衆から書状が届いておりますが……。」
村上義清「飛び地の管理はコリゴリだ。……お茶でも濁しておけ。」
翌2月から4月に掛けて信虎は反旗を翻した勢力を駆逐。諏訪頼満も韮崎から撤退。武田と佐久の動線が復活。
村上義清「大井の衆からの便りは……。」
家臣「御覧の通りにございます。」
村上義清「この間の書状を全て差し出したら、信虎喜ぶだろうな……。」
家臣「やりますか?」
村上義清「……それをやると信虎の事だから大井の衆は……。」
家臣「根絶やしにし兼ねませんな。」
村上義清「軽くあいつら(大井)脅しておけ。」
家臣「御意。」
1533年武田信虎の嫡男晴信と扇谷上杉の娘が婚姻。
1535年武田信虎と今川氏が激突。今川と同盟関係にある北条がこれに呼応し、甲斐東部に侵攻し武田が敗れる。この動きに対し、
村上義清「……大井から来てるんだろ。」
家臣「はい。」
村上義清「不満のはけ口にでも使っているのかな?」
家臣「殿は口が堅いですから。」
村上義清「少し悪戯してやるか?」
家臣「……と言いますと?」
村上義清「色よい返事をしておいて、喜ばせるだけ喜ばせて。」
家臣「……あとは放っておく……。悪い人ですね。」
村上義清「これぐらいのことでもしないと懲りないだろうに。」
同年長年冷戦状態にあった武田と諏訪が和睦。
翌1536年今川で家督争い勃発。武田と北条はのちの義元サイドに付き見事勝利。信虎の長女と義元が婚姻。更に義元の斡旋により信虎の嫡男晴信のもとに三条公頼の娘が輿入れするなど両者の関係は強化。これに反発した北条が今川と争う中、信虎が進出することが出来る場所は……。
村上義清「佐久しか残っていないよな。」
同年、武田信虎は晴信の初陣も兼ね佐久へ進出。
1539年武田と北条が和睦。
翌1540年信虎は同盟者諏訪頼重と共に佐久へ侵攻。実効支配を開始。
同年信虎の娘と諏訪頼重が結婚。両者の関係が一層強化される中、村上義清は……。
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