第6話 佐久地域
信濃東部に位置する佐久地域。東は上野。南は甲斐。北西部は同じ信濃の上田。南西部も同じく信濃の諏訪と境を為すこの地域には鎌倉時代以降、伴野氏と大井氏が地頭として支配。伴野氏は足利将軍家に貢献を果たす一方、大井氏は関東公方の遺児の庇護や甲斐の国に侵攻するなど室町時代に入ってからも影響力を保持。しかし応仁の乱が終結から2年後の1479年。両者が激突。大井氏と争っていた甲斐武田氏の支援を受けた伴野氏の手により大井政朝が生け捕りとされるなど弱体化。そんな佐久地域に目を付けたのが
村上義清「我が村上家である。」
村上氏は、内紛状況にあり国外にまで手が回らなくなった甲斐武田氏の影響の及ばない佐久地域を簒奪。1484年大井城陥落に伴い大井宗家は滅亡。ただし諸族の大井氏は存続。
家臣「そこの地域の人に面倒なことはお願いして、上前だけを……。」
村上義清「コンビニのフランチャイズみたいなものだな。」
家臣「残った伴野氏に圧力を加えつつ、この状況を正当化するべく将軍家並びに関東管領上杉家を使ったのでありましたが。」
伴野氏が武田氏に救援を依頼。1519年。甲斐をほぼ掌握した武田信虎が信濃へ侵攻。佐久地域の国人たちは、ある時は武田。ある時は村上。更にある時は上野上杉へとその都度庇護者を探す日々を20年に渡り続けることになるのでありました。
村上義清「この状況下で私が家督を継ぐことになったのであるが。」
家臣「我が本拠地埴科からは途中。こちらもフランチャイズ経営であり上野上杉とのモザイク地帯である上田を越えた位置にあるのに対し、甲斐武田と佐久は隣接しています故。」
村上義清「正直な話。直接ぶつかるのには苦しい。」
家臣「しかも今の大井氏は元々甲斐武田の出。代を重ねていますので、もはや他人ではありますが繋がりが全くないわけではありませぬ。」
村上義清「遠くの他人より近くの親戚に頼ることになってもある意味仕方のないこと……。」
家臣「このまま武田が信濃計略を本格化させることになりますと……。」
村上義清「ただ佐久の国人は大変だな……。」
家臣「御館様が統一されれば全て解決いたしますぞ。」
村上義清「勝算はあるのか?」
家臣「……冷静な御判断。何よりに御座います。」
村上義清「ただこのまま武田にくれてやるのも面白くは無い。」
家臣「御意。」
村上義清「当面は武田が入ってきたら追い返しつつ、大井のつなぎ止めを図るとするか。」
家臣「もし信虎が本腰を入れてきたら……。」
村上義清「この辺りはフランチャイズチェーン本部の割り切りで……。」
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