第35話 VS レナード・バランシュタイン

光の粒子が漏れ出していた。


裂け目から崩壊した黒い球体は、そのヒビから黄金色の粒子を撒き散らす。それが川のように連なってレナード様に集まっていく。


ああ、私の愛しいご主人様。たった1人の幼なじみ。いったい何をしようと言うのか。


崩れゆく神樹の上で私たちは2人で手をつないでいた。見渡すと神樹だけではない、大地そのもの、空さえヒビが入り崩れていく。


信じられない光景だ。

空の破片が世界に降り注ぐ。


「ミーシャ。謝らなければいけないんだ」

レナード様は寂しそうな顔で俯く。


「この世界はいずれ終わる。僕が壊したからね」


私は思考回路が麻痺していた。彼の一言の重みより何より、レナード様の寂しそうな顔がとにかくショックで何も考えられない。


「この世界は、いつも僕によりリセットされる。こうして滅びを迎えるのは83回めだ」


「はぃ?」

荒唐無稽な告白にキョトンとする。

レナード様は淡々と続けた。


「リセッターを発動すると世界の再創生が行われる。"あのベッド"から僕はやり直す事ができる。君ともきっとまた出会える。いや、絶対次も君を引き当てて見せる。そう決めたから。」


私はやはり理解が追いつかない。

「え、レナード様、どう言う事?」


レナード様は困ったように苦笑いをする。


「なんて言ったら良いのかな。そう、僕は【リセットマラソン】中なんだよね」

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