第25話 VS プリースト(6/6)
「おやおや、やはりダメでしたか」
ルカはそう言いながら足でアレンを踏みつける。足から溢れ出すのは緑の粒子。
「大地の身体強化魔法は筋肉繊維そのものにマナを流し込み強靭にするのでとてもシンプルですね」
ググっと力を込めて踏みつける。
「ぐぉぉ?!」
アレンは痛みに思わず声が漏れる。
「まぁ、強いて言うなら己の限界をちゃんと把握しておくべきところでしょうか。力が強くなったからと言って限界異常の力を出してしまい筋を痛めるのは良くある話です。もちろん私は訓練しているのでそんな事はありませんが」
言いながらアレンの長身を蹴って遠くまで跳ね飛ばす。
「そのくらいにしておけよ。執行機関」
流麗で落ち着きをたたえた若い声が響き渡る。門を見やると背の低い金髪碧眼の少年。アレンは声を上げた。
「レナード卿!」
「レナード様!」
ミーシャが門に走り寄るが、レナードに目で諭されその場で硬直する。
「ルカ・ラインベイル。教皇ともう話はついている。その拳を納めるのだ」
レナード様はため息をつく。
「今回は教会側が折れた」
ルカは怪訝な顔を崩さない。
「あの教皇様をどうやって説得したので?そうそう信じられませんな」
「なぁに。秘匿された"都合の悪い伝承"などいくらでもあるさ。焚書をしようにもバランシュタイン領の書物庫には初版から全ての聖譜があるしな。それらのうちいくつかを挙げて"話を聞いていただいた"にすぎん」
ルカはふうと息をつくと、姿勢を正して楽な姿勢にもどる。しかし逆に目を細めて険しい顔。
「あまり無茶をすると次はレナード卿のところにお伺いすることになりますぞ」
「君の本意ではあるまいさ」
レナード様は手を広げて大仰にお辞儀をした。
「ヴェリル少佐。アレン殿。大統領とも王女とも話をつけてきた。今日から皆、私の元に出向だ」
「どう言うことだチビ貴族」
ヴェリルが突っかかる。
「見てもわからんかね少佐?女王直系のロイヤルオーダー。僕に下った神樹討伐の権限は全会一致で可決された。すなわち、騎士団、軍、教会の共同戦線よ」
レナード様はそこまで勢いよく言うとこちらをチラリと見る。
「少し話が長引いたがね。さぁ、ミーシャ何をしている?まずはみんなで茶でも飲もうではないか」
「はい!」
私は勢いよく返事をした。
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