第23話 VS プリースト(4/6)

「おや、どうしたマリスン。そのベッドを捨てるのか?」


声をかけられたマリスンは簡易なベッドを取り壊していた。ここはミーシャの部屋である。


「あ、はい、旦那様。レナード様が捨てるようにようにとおっしゃってましたので」

「ふむ。ミーシャのベッドはどうする?」

「はい。新しいものを用意するように仰せ使いました。まぁ、その」


マリスンはため息をついた。

「最近、このベッドではヴェリル様が寝てらっしゃいましたからね」


バランシュタイン公は大きな声で笑った。

「全く。アイツのミーシャ好きにも困ったもんだな」


はてさて。元気出しているのかな?レナード。ミーシャ。ついでにヴェリル少佐殿は。


※※※※※※※※


「私の屋敷がー!」


巨大なゴーレムが一足踏み出すとアレンの屋敷はその半分がもろとも崩れ去る。激しい土煙があたりに広がる。


舞い飛ぶように敵を避けるヴェリル様に私は抱き抱えられていた。


「ひどーいー!せっかく綺麗に掃除してあったのにーー!」


私もヴェリル様の腕の中で叫ぶ。私の頭の上で舌打ち一つ。


「あんな奴の部屋なんて掃除してやる事ねーだろ」


言いながら着地。アレン様と私と3人が揃った形になった。ヴェリルは振り向いて騎士を見る。


「アレン、ムカつくが力を貸せ。ルカの注意を引き付けろ」

「騎士に指図をするな!お前こそデカブツの足を封じろ!」


ヴェリルはアレンの返答に不機嫌な顔をしながら私を見る。


「今からやるところだよ見りゃわかんだろ!!メイド長、そういう訳だから奴の動きが止まったら首の下にあるコアを刺しつぶせ。アレンも4分は待たないぞ。速攻で決めろ」


「コアですか?」


私は巨人の胸元を見た。確かに首の付け根付近に緑色の淡い光が見える。


「そこを潰せばアイツは終わる」


言うが早いか2人は弾かれたように飛び出す。


「ルカ!」


アレン様の槍は杖に魔力を集める暇なく弾いていく。


「おやおや。良いのかな?」


ルカは杖を両手で持つと、嵐のような槍の乱撃を軽くいなしてアレンの膝を打つ。


「接近戦は得意なんだ。むしろ私ほどにもなると鍛錬するところがそこしかなくてね」


言うと体勢を崩したアレンの腹に蹴りをたたき込む。流れるような体術。ふわりと青い粒子が舞う。


「風魔法の身体強化は筋肉の動きを理解すればするほど馴染む。その身体で受けてみるかい、アレン」


ルカは素早く拳を振り下ろし、大地にアレンを叩きつける。ヴェリルは巨人に向かいながら横目でそれを見届ける。


「おいおい、バカ騎士が。あれじゃ2分も待たないぜ」


言いながらも振り向く事なく前に進み続ける。

「ま、なんとかするだろ」


「さてどうでしょうか」

ルカはほくそ笑みながら杖に風の魔力を充填する。単純な弾速なら他のマナを遥かに凌駕する。その一撃をヴェリルに向けて放つ瞬間であった。ルカの足をアレンが掴み引っ張りあげる。


「悪いなルカ。俺は死なずともしぶといんだ」

そのまま力任せにルカを地面に叩きつける。


「あたたたた!」

ルカはわざとらしく声を上げる

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