第22話 VS プリースト(3/6)
私の剣が大地に落ちるけたたましい音と、氷の砕ける音はほとんど同時だった。
「信じらんないよねーホント」
目を開くとパラパラと舞う白銀の細氷。それが舞い上がり空から降り注いでとても綺麗。
キラキラしたその中で私は白いコートの軍人の腕に抱かれている。足元には青い稲妻をまとった銀の槍。
「星5のウルティマ。ライトニング!」
アレンが叫ぶ。ルカは苦々しい顔で呟く。
「ヴェリル。ヴェリル・カッシーニ」
名前を呼ばれた彼は短い金髪。メガネを片手でクイと掛け直す。
「目を瞑っちゃうなんて、メイド長バカなの?見てなきゃ避けられないでしょ」
私はたしなめられながら地面に下ろされた。
「す、すみません、もうダメかと。」
ヴェリルはため息をつく。
「レナードの奴、オレが断ったら『別のアテを当たってみる』とは言ってたけど。まさかバカ騎士の屋敷にメイド長を預けるなんてセンス無さすぎでしょ」
ちらりとアレン様の方を見る。
「なんだとこの殺人狂め!不服があるなら貴様が先にメイド長を引き取れば良かっただろうが!」
「いや。アンタも普通に人殺してるでしょ。今更ナニ?あとオレ軍の宿舎だし。めちゃ狭いし。でも気が変わった」
ヴェリルは私をヒョイと拾いあげる。肩に担がれた私はバタバタと騒ぐがその長身の前ではなす術もない。
「こいつはお前にゃ全然任せらんねーわ。見りゃーわかる」
そう言ってルカの方を睨む。
「と言うわけなんで、こいつは連れて帰るぜ」
手を振りかざすとそれと呼応したように星5ライトニングがヴェリルの手に戻ってくる。ルカは笑みと共に大仰に語りかける。
「ヴェリルまで!久しぶりに3人揃うと言うのに意地が悪いですね」
ヴェリルは額に青筋を浮かべる。
「それ以上喋るなよ。オレはアレンと同じくらいテメェの事が嫌いなんだ!」
槍が電光の如く走り、ルカに深々と突き刺さる。いや、違う。それは幻!揺らめくと煙のようにその姿が消え失せる。
途端に大地が激しく隆起する。先ほどまでとは比べものにならないくらいの巨大な一体のゴーレム。その外皮は鉄魔法での薄い銀幕で覆われている。
「いただきましたよ。ライトニングの魔力」
ヴェリルは舌打ち。
「チッ、ペテン野郎め」
私たちは屋敷を追い越すほどの巨大な人影を見つめた。
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