第15話 鑑定結果

 数日後、歌非人から連絡があった。

 言うまでもなく、鑑定の件だろう。


「想推くん、鑑定の結果が出たよ」

「どうでしたか?」

「一致したとの結果だ。つまり99.9%君は九能四家の子供であるということだな」


 それは想推が実質的に九能家の生まれであることの証明だった。


「……そうでしたか」

「僕はこの結果をもって宗家に報告してくるよ。九能四家にも何かしらの処罰がくだされるかもしれない。もっとも、公にはならないだろうがね」

「もみ消されるってことですか?」

「表向きはそうなるだろう。だが今回の件を機に九能家が変わるきっかけになる気がするよ。少なくとも、このチャンスは無駄にはしない。ところで……」


 歌非人は想推にある提案をしてきた。


「君は九能家に戻りたいと思ったことはないかい?」

「……今はまだわかりません。頭が上手く整理できていないって感じです」

「そうか、無理もないな」

「それより、その鑑定結果ってもらうことできますか?」

「ああ、明日にでも届くように送っておくよ。君にはもらう権利があるからね」

「ありがとうございます」


 これで陣内への報告書をまとめることができる。

 自分は九能家の子であるという証拠をおさえることで、陣内の課題も達成することができたが、これから先をどうするか迷っていた。


「……」


 歌非人の言う通り、九能家に戻るという選択肢もある。

 だが九能家のことなどほとんど知らない想推にとってはいばらの道といっても過言ではないだろう。

 歌非人の言う通り、封建的な世界だとするなら、その雰囲気に慣れるだけでも一苦労だ。

 しかし今の想推には、陣内のように探偵になりたいという夢がある。

 思い入れなどない九能家に帰るよりも、このまま探偵として生きていく方が自分の意志で人生を決められるはずだ。

 そう思うのと同時に、今後の九能四家がどうなってしまうのかも気になっているのだ。

 もし自分が帰らなければ、あのまま九能四家は衰退してしまうのだろうか。


「……ああもう、考えるの止めるか。とりあえず先生に報告してから考えよう」


 あれこれ考えても結論は出ないので、今は思考停止することにした。

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