その者は漂白された

「ソウルスクリーム」

  


"その者は漂白された"

  

私はノーバディ・ノウズ、そしてパーフェクト・リバティ。彼女わたしがペーパー・カッツに拐われ記憶洗浄と精神強化を経て私達は生まれた。ノーバディ・ノウズの別人格それがパーフェクト・リバティ、僕だ。人は自分の魂の悲鳴しか聞くことができない。彼女、否俺、僕、私達を除いては。特異点でなければ。

  


パーフェクト・リバティはノーバディ・ノウズが魂の悲鳴を絶え間無く聴いて狂った結果生まれた。魂の悲鳴がどれが自分のものか遂に彼女はわからなくなった。だから魂の悲鳴をすべて消すのだ。それで残ったのが彼女に違いない。そう、彼女は私達だ。パーフェクト・リバティでありノーバディ・ノウズだ。

  


パーフェクト・リバティは誰も知らない。ノーバディ・ノウズの頭のなかにしか居ないのだから。一人乗りのアラクネアサルトで彼女はパーフェクト・リバティに話しかける。魂の悲鳴に押し潰されないように。

私はパーフェクト・リバティだ。

  


ーーーーーー。ブリーチ、漂白された者とそのアームヘッドは言った。三つの目はまるで何も捉えておらず、三本の腕で無造作に敵を狩る。それでいて漂白されたように白い身体は敵の返り血すらかわす。セイントメシアと並んでリズの最大脅威とされたがセイントメシアと違い帝国も襲った。

  


「セイントメシアは北極熊の一番槍が葬るであろう。そして我がプレデターがあの漂白者を倒し私は昇進するのだ!ハハハ」陸上戦艦の艦橋からベンデルの笑い声が、否これは魂の悲鳴即ちテレパシーで聞こえてくるのだ。「さあはやく倒せ!このあたりに奴が現れたとの報告だ!」ベンデルが叫んだ!

  


次の瞬間!傷ついた白いアームヘッドが突如出現!「ブリー・・・」漂白者ブリーチは艦橋を一撃で粉砕!ベンデルの、複数の魂の悲鳴が消失!「指揮系統を潰すか?」バードヘッド!「奴の指揮なんぞ要らぬ」マインド・スパーク!「早速いい仕事だぜ」ブレイン・ウォッシャー!「あー」ロストメモリー!

  


瞬間移動か?だけど魂の悲鳴がどの位置からも聞こえなかったぜ。ノウズおかしいよ。瞬間移動でも魂の悲鳴は察知出来るんだよね?そうだ。つまり漂白者の移動は異質な能力、それに・・・。「これで終わりだぜ!」ブレイン・ウォッシャーのアラクネが漂白者に挑みかかる!ブレイン・ウォッシュだ!

  


「ブレイン・ウォッシャーまずいぞ!」ノウズが叫んだ!「なにをいってやがる!前の連中みたいに・・・」その瞬間、ブレイン・ウォッシャーは漂白者の異質な精神に触れた。奴が現れた瞬間からノウズの頭に響く漂白者の魂の悲鳴は・・・。「我は最終世代、時の終わり、知性と意識の観測の終わり」

  


我は最終世代、時の終わり、だが神の触手は時の終わりから始まりに向けられた、時間、時間の子、我は最終世代、だが滅びゆくものではない、我は時間移動者、時の終わりの先の世界の守護を受けし者、だからこそ滅ぼさねば、神の障害である特異点を、我は最終世代、我は時間移動者、我は最終世代

  


ブレイン・ウォッシャーの魂の悲鳴が消えた。「つぎはおまえだ」漂白者の虚ろな目がこちらを向いた。僕は本能的な恐怖を感じた。魂の悲鳴が聞こえるノウズは僕以上の恐怖を感じるに違いない。「一つ、わかった」ノウズは自分に言い聞かせるように言った。「奴の能力は時間移動だ」

  


全く忌々しい。奴がアームヘッドならば倒せる。ノーバディ・ノウズは敵のアームホーンを見据えた。漂白者が消えた。「さあ何時でもかかってこいよ」

  


"その者は漂白された"


終わり

  


◎ノンフィクション◎

時間支配系、発動型の調和。自分が存在していない時間への移動が出来る能力。

  

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